【談話】東京電力柏崎刈羽原発運転禁止命令の解除の撤回を求めます

【談話】東京電力柏崎刈羽原発運転禁止命令の解除の撤回を求めます

2023年12月28日
緑の党グリーンズジャパン共同代表
緑・にいがた(緑の党グリーンズジャパン新潟県本部準備会)代表
中山均

12月27日、原子力規制委員会は2021年4月に出された東京電力柏崎刈羽原発の運転差し止め命令(核燃料移動禁止命令)を解除することを決定しました。命令はID不正事件や核防護装置不備の放置などを受け2021年4月に出されていたもので、その後の追加検査で「継続的な改善が確認」され、解除されたものです。しかし、この決定は柏崎刈羽原発を運転する東電の実態を無視する不当なものであり、私たちはその撤回を強く求めます。

東電には、運転禁止命令後の追加検査中にも、不祥事や対策の不備・トラブルが数多く確認されています。それらの中には、原発運転管理上の命綱と言える機器の工事基準不適合や核防護に関わる不適切な運用、審査書類の偽造等、きわめて重大で決定的な問題も少なくありません(※1)。このような組織に事実上の合格証が与えられるのは、絶対に容認できません。

「3.11」福島原発事故を起こした東電の適格性の判断にあたっては、他の電力会社よりもさらに厳しい審査が求められるはずです。しかし、規制委は何度も不祥事を繰り返す東電を許容し、合理的な根拠なく大甘の判断を下しました。ID不正事件以降、私たちが他に先駆けて調査・指摘を重ねてきたように、東電ばかりでなく規制組織自体にも重大な欠陥がある(※2)ことを、あらためて強く指弾しなければなりません。

東電や国に対しては、今回の命令解除を前にして、新潟県内自治体からも「度重なる不適切事案で、東京電力に対する市民の信頼感は失墜している」「この状況下で原発再稼働への動きが出れば、大きな反対の動きが出るのは必至」「自治体としては、これまでの不適切事案を踏まえると、東京電力を擁護することは困難」「現状では市民の信頼は到底得られない」など、強い懸念や不安・不満が表明されています(※2)。

新潟県独自の「三つの検証」も現知事によって強引に幕引きが図られ、柏崎刈羽原発は再稼働に向けて大きく動き出しつつあります。しかし、新潟県民はこれまで何度もこうした動きに事実上歯止めをかけ、その中で私たちも重要な役割を果たしてきました。

私たちは、今後も他の市民団体等と連携しながら、同原発の再稼働阻止に向けて行動を重ねます。

※註

1) 不祥事やトラブルの最近の一覧については、https://nakayamahitoshi.com/wp/wp-content/uploads/2023/12/51bb736e49df26982397b6f249dfa2f1.pdf 参照。

2)2020年に起きたID不正事件に関し、規制庁が事態を把握していたにもかかわらず、その直後に規制委が東電の適性を判断していたことが、「緑・にいがた」の指摘で発覚。それ以降、規制組織のあり方に対する厳しい世論が大きく形成されていった。たとえば朝日新聞記事 https://www.asahi.com/articles/ASP266TFYP26UOHB002.html 参照。

2)新潟県内30市町村で構成される「市町村による原子力安全対策に関する研究会」が、東電や国に対して要望や意見活動を重ねている。7月の実務者会議で出された意見が代表幹事の長岡市のHPで公表されている。https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate01/nuclear-safety/file/kensyu_20230727-09.pdf

全文(PDF)→https://greens.gr.jp/uploads/2023/12/Danwa_kariha.pdf