【談話】「広島ビジョン」後初の平和式典-日本政府は被爆者・市民の願いに向き合え
【談話】「広島ビジョン」後初の平和式典-日本政府は被爆者・市民の願いに向き合え
2023年8月7日
緑の党グリーンズジャパン 共同代表
中山均
昨日(8月6日)で、米軍が広島に原爆を投下してから78年となりました。犠牲となった多くの皆様に、心より哀悼の意を表します。
同日、5月のG7広島サミット後初となる平和記念式典が開かれました。その広島サミットでは、核軍縮文書「広島ビジョン」が発出されています。G7首脳たちが広島に集結し、核のない世界を目標とすることを再確認したこと自体、一定の意義があったかもしれません。しかし、同文書では、ロシアの核威嚇を非難しながら、自らの側の核抑止力を必要視し、核禁止条約にも触れませんでした。首脳たちが資料館視察や被爆者との面談を経ることで、まがりなりにも被爆の実相に触れながら発出された同文書は、それにもかかわらず、結局のところG7の枠組みとして核抑止を再確認・正当化するもので、多くの被爆者や支援者を落胆させ、その願いを裏切るものとなりました。そして今回の式典でも、岸田首相はあいさつで「広島ビジョンなどを通じて核軍縮の進展に向けた国際社会の機運を高めることができた」と述べ、やはり核禁止条約にも触れませんでした。
一方、広島の松井市長は「平和宣言」の中で、「核抑止論は破綻しており、その脱却が重要」と指摘するとともに、一刻も早く核禁止条約の締約国となること、11月の第2回締約国会議への参加などを求めました。国際社会からも注目されている広島の平和宣言において、政権与党も推薦する松井市長が岸田首相・政府の示す方針に強い異議を唱えたことは、注目に値します。また、同日、被爆者団体の代表も、岸田首相と面談した直後、「広島ビジョンは絶対悪の核兵器を必要悪のようにした」「核廃絶の歩みは後退した」と述べ、憤りを露わにしています。
岸田首相やG7首脳たちと、被爆者や平和を求める世界の市民の願いとの乖離が一層明らかになっています。唯一の戦争被爆国である日本は、多くの犠牲者・被爆者の怒りや悲しみと願いを真摯に受け止め、核禁止条約の枠組みに一刻も早く参画し、具体的な核軍縮に向けて積極的に行動しなければなりません。
また、私たちも、あらためてひとりひとりが戦争と被爆の実相に向き合い、核廃絶のための市民レベルの行動を強めなければなりません。私たち緑の党は、世界中の緑の仲間や平和を求める市民と連携し、核や戦争のない世界の実現に向けた政治の実現のため、ともに力を尽くす決意を新たにします。
PDFファイル:https://greens.gr.jp/uploads/2023/08/danwa_hiroshima.pdf