【世界のみどり】ロンドン封鎖、英議会の気候非常事態宣言、緑の党が統一自治体選で躍進
イギリスの政治情勢は、EU離脱と気候変動の問題をめぐって、この春、激動の真っただ中にあります。5月の統一自治体選挙とEU議会選挙を前にして、4月、エクスティンクション・レベリオン(XR、絶滅に抗う者たち)が、政府が温暖化対策を怠っていることに抗議して、非暴力直接行動を行いました。ロンドン市内の繁華街や交通の要衝を約2週間封鎖したのです。メディアもこの運動を好意的に取り上げ、XRのスポークスパーソンのルパート・リード氏がテレビ番組で大臣らとの会談を勝ち取りました。リード氏は、2015年連邦議会選挙で緑の党の下院議員候補でした。この他に、イギリス緑の党の欧州議会議員モリー・スコット・ケイト氏も行動に参加しました。
XRにツイッターでエールを送っていたのが、スウェーデンの気候活動家グレタ・トゥーンベリさん(16歳)です。そして、グレタさんをイギリス議会に招いてスピーチするよう尽力したのは、イギリス緑の党の代表キャロライン・ルーカス下院議員でした。
これらの働きのおかげで、統一自治体選挙の直前の5月1日、イギリス議会は、与野党全会一致で「環境・気候の緊急事態」を宣言することになりました。しかし、緑の党のルーカス氏は、温暖化対策に最大限の努力という言葉は不十分であり、一層のアクションが必要だとツイッターで述べています。
気候変動とEU離脱が大きな争点と言われた中、5月3日、統一自治体選挙となりました。EU離脱に反対する緑の党は、史上最高の結果を得ました。192議席増やし、122自治体で362議員を擁するまでになり、平均得票率5ポイントアップの12%という大躍進を遂げました。政権与党の保守党は1,334議席減、野党第1党の労働党も82議席減らしました。緑の党のほかに議席を増やしたのは、自由民主党で703議席増です。また、政党に属さない無所属議員が合計662議席増えました。
この勢いに乗って、イギリス緑の党は、EU議会選挙でも躍進をめざしています。イギリスは、2016年の国民投票でEU離脱を決めましたが、イギリス議会が離脱協定案を承認しないため、離脱が延期になり、5月23日~26日に予定されているEU議会選挙に参加することになっています。イギリス緑の党は、「EU離脱に反対の国民は緑の党に投票しよう」と訴えています。
*参考
・イギリス緑の党ウェブサイト⇒ https://campaigns.greenparty.org.uk/