【声明】パリ協定にふさわしい、原発にも化石燃料にも頼らないエネルギー基本計画を!

 

【声明】パリ協定にふさわしい、原発にも化石燃料にも頼らないエネルギー基本計画を!

 

2018年6月13日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

 気候変動の影響が深刻化する中、2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において「世界の平均気温を産業革命前と比べて2℃未満の気温上昇に抑え、1.5℃以内にとどめるよう努力する」として採択されたパリ協定が2016年に発効しました。それ以降、世界の潮流は省エネの推進と再生可能エネルギーへの転換に向けて動きを加速させています。

  ところが、5月17日に公表された第五次エネルギー基本計画(案)(※1)では,未だに石炭火力発電を「重要なベースロード電源」と位置付け、2030年見通しでも電源構成の26%を占めています。パリ協定の目標を実現するには、今世紀後半までにCO2排出量を実質ゼロにしなければならないとされていますが、石炭火力の排出量は天然ガスの約2倍にも及びます。日本では100以上の石炭火力発電所が稼働し、36基の新規建設計画も進んでおり、「脱炭素」の世界の潮流から完全に立ち遅れています。

 さらに、原子力発電も「重要なベースロード電源」に位置づけられ、「核燃料サイクルの推進」も謳っています。原発の安全性は確保されておらず、核廃棄物の処分問題や核燃料サイクルも見通しが立たないまま破綻しています。福島第一原発事故後、原発の新設建設費用も高騰しています。

 しかも原発は、温室効果ガスの削減にも寄与しません。日本では1990年以降も増え続けていた温室効果ガスが、2013年をピークに減少に転じています。原発が動かなくても、広範囲にわたる省エネへの取り組みと再生可能エネルギーの拡大で温室効果ガス削減を実現できたのです。2016年末には、再生可能エネルギーが設備容量で原子力発電を超えています。

 

 2050年までに温室効果ガスの排出量を80%削減するとの長期目標を整合的に達成するためには、2030年の再生可能エネルギー導入目標の大幅な引上げと、発送電の完全な分離、再生可能エネルギーの電気系統への優先接続など、目標実現のための適切な政策が不可欠です。

 私たち緑の党グリーンズジャパンは、日本を環境先進国へと転換させるため、政府に対し、エネルギー基本計画の抜本的な見直しと、省エネルギー・再生可能エネルギー拡大のための大胆な政策転換を求めます。

註1:http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620218009&Mode=0 
パブコメの締め切りは6月17日

 

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