【論説】 野党4党の「原発ゼロ基本法案」を歓迎しさらにその強化に…
【論説】
野党4党の「原発ゼロ基本法案」を歓迎し、さらにその強化に向けて提言します
2018年3月30日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
立憲民主、共産、自由、社民の野党4党は9日、「原発ゼロ基本法案」を衆院に提出しました。この法案には、全原発を「速やかに停止、廃止する」との基本理念を明記しました。電気の需要量削減や、再生可能エネルギー供給量の割合増の数値目標を書き込んだほか、廃炉作業を行う電力会社や立地地域の雇用・経済対策について、国が必要な支援を行うことも規定しています。
また、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)(※1)もこれに先駆けて「ゼロ法案」を公表しています。
結党当初から原発ゼロを訴えてきた私たち緑の党は、野党第一党を含む複数の野党が、多くの市民と対話を進めながら原発ゼロに向けた動きを示したことを心から歓迎します。特に、野党のゼロ法案の原案(立憲民主党)の案文に含まれていた「緊急時における例外的な原発稼働容認」との内容が削除されたのも、市民の強い批判や原自連の動きも大きな役割を果たしたと言えます。
一方、この法案が、日本で暮らす市民全体にとっても、また原発が立地してきた地域の住民にとっても、より安全で、かつより生活に根ざしたものとなるよう、以下2点の課題について見解と意見を表明します。
一点目は、規制の抜本的な強化です。現在の法体系において、現時点で既に動いている原発を止めるには、司法判断か規制委員会による処分しかありません。しかし現在、最高裁の構成は安倍政権の意向が反映された不公正なものとなっており、それが玄海原発についての3月20日佐賀地裁決定のような不当判断の背景になっているとも考えられます(※2)。「3.11」の悲劇を踏まえて民主党政権下で改正された原子炉等規制法や原子力規制委員会設置法の趣旨通りに適切な規制が行なわれていれば、不当判断も避けられた可能性があります。原発を規制する関連法を徹底的に強化し、これを規制行政に反映させることが不可欠です。また、現在の規制委員会は、原子力規制委員会設置法の想定に反し、原子力業界のただ中にいた人が中枢を占めており、実際にそこで下される判断は信頼に足るものではありません。
そして二点目は、これまで原発が立地してきた地域における経済の再生や雇用創出の具体化です。再生可能エネルギーの拠点への位置づけをはじめ、これまでさまざまな市民・団体からなされてきた提言を踏まえ、市民に開かれた議論の中で、政策的・制度的な支援策が講じられる必要があります。また、原発立地が抱える問題は、日本の地方が共通に抱えている課題が象徴的に表われたものでもあり、単に原発立地の問題としではなく、日本の社会・経済のあり方を見直す議論の契機とすべきです。
私たち緑の党グリーンズジャパンは、今後もさまざまな市民とともに、原発からの脱却はもちろん、地域の再生に向けて、全力を尽くしていきます。
※註
1:http://genjiren.com/
2:https://greens.gr.jp/seimei/22476
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