【論説】民族差別を容認した東京地裁判決に抗議します

【論説】民族差別を容認した東京地裁判決に抗議します

2017年9月27日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 去る9月13日、東京地方裁判所は朝鮮高校の元生徒62人が提起した就学支援金不支給の国家賠償請求訴訟(無償化裁判)について、原告の訴えを棄却しました。地裁前に詰めかけた当事者や支援者からは悲痛な泣き声と怒りの声が広がりました。

 全国5か所で行われている高校無償化制度からの朝鮮学校排除の違法を訴える裁判では、7月に広島地裁と大阪地裁で正反対の判決が出ています。広島地裁は国側提出の新聞記事や公安調査庁の報告書に基づき、「北朝鮮・朝鮮総連の影響が否定できない」「就学援助金が適切に使われるか懸念される」として、国の裁量権の逸脱は認められず適法としました。

 大阪地裁では逆に、国の判断は「教育の機会均等とは無関係の外交的、政治的判断に基づいたもので文科大臣の裁量権を逸脱しており、違法・無効である」と判断し、また「母国語と母国の歴史、文化についての教育は・・・民族的自覚及び民族的自尊心を醸成する上で基本的な教育」であると民族教育の意義を認定しています。当然の判断と言えます。

 しかし、東京地裁の判決は広島判決同様,論理矛盾もはなはだしい容認しがたい内容になっています。「北朝鮮や朝鮮総連と密接な関係があるという公安調査庁の資料に基づいた国の判断は不合理ではない」とする一方で「政治的、外交的理由による判断ではない、裁量権の逸脱、濫用はない」というものです。「北朝鮮や朝鮮総連と密接な関係がある」というのが「政治的、外交的理由」でなければ、いったいどのような理由なのでしょうか。

 高校無償化は高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、教育の実質的な機会均等に寄与することを目的としています。子どもたちが安心して教育を受ける権利はひとりひとり平等に認められています。仮に「北朝鮮・朝鮮総連の影響が否定できない」としても、その問題は子どもたちの教育を受ける権利に影響しない形で議論されるべきです。

 私たち緑の党グリーンズジャパンは、国連の人種差別撤廃条約、子どもの権利条約の観点からも本判決の不当性を強く訴えるとともに、「あらゆる差別を許さない包括的な差別禁止法の制定」を政策に掲げ、日本政府と司法の歪んだ判断によって被害を受ける当事者・支援者と連なり、民主主義と公正な社会を求めて活動します。

 

 

PDF版はこちら