【声明】日本国憲法施行から70年の節目に‐私たちの暮らしやいのち、未来への希望…
【声明】日本国憲法施行から70年の節目に-
私たちの暮らしやいのち、未来への希望を守り、世界中の人びととともに生きる社会へ
2017年5月3日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
本日は、日本国憲法が施行されて70年目となります。
日本社会は、先の世界大戦の悲惨な現実を前にして、不戦と平和、民主的な社会の実現を誓い、その理念を憲法に結実させました。そこには、日本だけでなく、世界中の戦争犠牲者や先人たちの希望や願いがこめられています。
しかし昨年、安倍政権は、憲法の理念を解釈で捻じ曲げ、強権的な手法で立憲主義を蹂躙して安保法制を成立させました。そして今月1日、安倍首相は「新憲法制定議員同盟」大会に現職首相として初めて出席し、「改憲に向けこの節目の年に必ずや歴史的一歩を踏み出す」と発言し、改憲への執念をあからさまに表明しました。憲法をめぐる最大の危機は今も続いています。
現在、北朝鮮と米国は互いに激しく非難し、軍事的な挑発行動を繰り返しています。双方の対立関係の高まりの一方、互いに着地点を模索している側面もある中で、日本政府は安保法制下の「平時からの米艦防護」任務を自衛隊に初めて付与し、海上自衛隊の護衛艦を米艦船に合流させました。その軍事的合理性は疑問視されており、憲法記念日を間近の時期にした「米艦防護」は、緊張を意図的に演出しようとするものだと言えます。しかしこれは明確な軍事行動に他ならず、衝突の危険性を高め、自衛隊艦船ばかりでなく、その拠点となっている国内港湾をはじめ、民間施設や関係機関・企業の労働者、周辺地域の一般市民にも危険をもたらし、問題をさらに拡大することにもつながります。
米軍基地の集中する沖縄では、憲法だけでなく、憲法と同時に施行された地方自治法の理念も危機にあります。基地建設に反対する民意が何度明らかにされても、政府はそれを一顧だにせず、米軍基地建設を強行し、司法もまたそれに追随しています。同じ憲法や地方自治法の下に共にありながら、差別され、人権と自治が踏みにじられる沖縄の人びとの苦悩や怒りに、「本土」に生きる市民は、あらためて真摯に向き合う必要があります。
さらに、「3.11」から6年を経た今日も、東京電力福島原発事故の被害者の基本的人権は、いまだにないがしろにされ続けています。
改憲議論の中で安倍首相は、「自民党憲法草案をそのまま提出する考えはない」と弁明していますが、同草案には首相や自民党の本質的な考えが明確に表われています。同草案は、地方自治や国民の主権を制限し、首相に全権を集中する「緊急事態条項」を組み込み、「個人」よりも「国家」を優先し、基本的人権の重要性と普遍性を高らかに謳った憲法97条をそのまま削除しようとしています。
これまでも度々強調してきたように、脅かされているのは、平和だけではなく、民主主義、地方自治、自由、人権、人間の尊厳、私たちの暮らしや存在そのものなのです。日本国憲法を守ることは、人類の努力の成果やすべての人々が人間らしく生きていく権利、そして未来への希望を守り、育てていくことでもあります。
憲法は、前文において「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」とも明言しています。私たち緑の党も、世界中の人びと共に生きる平和な未来に向けて、各地で繰り広げられている広く多様な取り組み、そして他の野党や市民団体と連携・協力し、安倍政権による改憲を阻止するとともに、基本的人権が尊重される社会を実現するため、来る衆院選挙を含め、全力を尽くすことをあらためて強く決意します。
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