【論説】少年に対する死刑判決確定を受け ―国家による暴力である死刑制度の速やか…

 【論説】 少年に対する死刑判決確定を受け

        ―国家による暴力である死刑制度の速やかな廃止を

 

2016年7月4日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

  さる6月16日、元少年の上告を棄却した最高裁決定により、裁判員裁判としては初の、犯行を行ったとされる時点で少年(18歳未満)だった人に対する死刑判決が確定しました。

 緑の党グリーンズジャパンは、被害に遭われた方に対し、心からの哀悼の意を表します。また私たちは、犯罪被害に対する支援がこれまで十分でなかったことを踏まえ、犯罪給付金制度の拡充、捜査機関から独立した被害者支援機関の創設などを政府や関係機関に対して求めていきます。

 一方、この事件は、死刑制度、とりわけ少年に対する死刑が本当に必要なのかという疑問も、改めて社会に突き付けました。

 少年犯罪の件数は2005年をピークに大幅な減少を続けており、これは、少子化の進展を考えても顕著な減少傾向です。また少年は、今後の教育によって大きく変わりうる存在です。特に少年に対する死刑は、犯罪を防止するうえで、意味のないものと言わざるを得ません。

 また、成人についても、殺人などの重大犯罪は減少傾向にあります。今日の日本において、死刑になりたいという理由で殺人を犯す人はいても、死刑になりたくないという理由で殺人を思いとどまることは考え難いこと等を考えれば、死刑制度は犯罪の防止に対してむしろ逆効果と言っても過言ではありません。OECD加盟諸国で死刑を実質的に存続させているのは、アメリカの一部の州を除けば日本のみとなっています。近代国家の存在意義は、基本的人権の尊重にあります。人権の制約は、他の人の人権を保障するための最小限度のものでなければなりません。

 さらに、政府が死刑存続の理由としている「国民世論」についても、そのアンケートの公正さについては多くの専門家から疑義が出ているのをはじめ、国が死刑を廃止した場合受け入れるかという設問に対しては、多くの回答者が、それを受け入れると回答しています。

 私たち緑の党グリーンズジャパンは、基本理念に「非暴力」をかかげています。死刑は、戦争と並び、国家による重大な暴力行為であり、私たちは死刑制度の早期の廃絶を求めていきます。特に緊急の課題として、十分な検討のないまま死刑がなされることのないよう、死刑判決は裁判官・裁判員の全員一致を条件とすること、死刑に直面している人に対する十分な弁護権の保障などを強く求めていきます。

 あわせて私たちは、犯罪の被害に遭われた人に対する十分な支援、さらには犯罪を根本から防ぐため、社会的不公正の根絶、すべての人がその尊厳を尊重される社会の構築に向け、今後も全力を尽くしていきます。

 
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