【世界のみどり】オーストラリアも苦労している!?驚愕の非民主的制度


5月16日~24日、オーストラリアのシドニーにて行われたAPGF(アジア太平洋緑の党連盟)のスタディツアー。このツアーに緑の党グリーンズジャパンから参加した、足立力也のレポートをお届けします。

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写真:オーストラリア緑の党の連邦議会議員
(オーストラリア連邦議員226の定員のうち、11の議席をもっている)
オーストラリア緑の党ウェブサイトhttp://greens.org.au/より


オーストラリアも苦労している!?驚愕の非民主的制度


足立力也(国際部/APGF運営委員)


 5月16日。オーストラリア緑の党が主催するスタディツアーでシドニー郊外マンリー市を訪れた我々は、現職市議会議員のキャシーに現地を案内してもらう予定だった。しかしそこにいたのは、「元」市議会議員のキャシーだった。

 ……どういうこと!?

 事態が飲み込めない私が尋ねると、キャシーは怒りとため息半々で話し始めた。「つい先日、ニューサウスウェルズ州知事が突然市議会を解散したんですよ」。
 まだ事態が飲み込めない。続けて質問する。「州知事が?勝手に?そんな権限があるんですか?市議会はどうなるんですか?」
「そうです。知事はニューサウスウェルズ州に152ある地方自治体のうち41の議会を強制解散させて、議員は全員失職しました。次の選挙がいつあるかも分かりません。なくなった自治体は近隣自治体と合併させられます」

 オーストラリアといえば、単記委譲式比例代表制(上院)など、制度的に民主主義が相当発達した国だというイメージを持っていた。ところが地方自治に関してはそうでもないらしい。地方自治体は州法によって定められ、しかも憲法上の規定がない。そのため、行政権限は州の、財政は連邦の権限が自治体に対して圧倒的に強いというわけだ。

 それにしても、あまりに非民主主義的な話で、頭のもやもやが晴れぬまま1日を過ごした。そこでその夜、夕飯をご一緒したシドニー近郊在住のケンに話を振ってみた。すると彼は驚きの事実を語り出したのである。

「私はシドニーから北に100キロくらい離れたウォロンゴン市に住んでるんですが、もう13年間も自治体選挙が行われてないんですよ」
 またも私は耳を疑った。そんなことがありえるのか?ありえていいのか?しかし事実は事実。自治体の区切りも選挙も、州の権限で好きなようにやられてしまう。そんな強権的な制度の中、世界初の緑の党であるオーストラリア・グリーンズは立ち上がり、地方で議席を獲得し、やがて国政にまで駆け上っていったのだ。

 私たちにも様々な制度的障壁が立ちはだかっている。しかしそれを打ち破ってこそ、道が開ける。南半球で思いがけず新たな勇気を持ち帰る旅となった。


〔参照〕
【世界のみどり】APGFスタディツアーがスタート
https://greens.gr.jp/world-news/17289/