【談話】「大阪都」構想否決を受けて 改革を求める市民の声にこたえて議論の深化を
【談話】「大阪都」構想否決を受けて 改革を求める市民の声にこたえて議論の深化を
2015年5月19日
緑の党グリーンズジャパン 共同代表
中山均 長谷川羽衣子 長谷川平和 松本なみほ
5月17日、大阪市で、橋下徹・大阪市長が掲げる、いわゆる「大阪都」構想をめぐり、大阪市を解体し大阪府の下に5つの特別区を設置することの是非を問う住民投票が実施され、僅差ながら反対票が賛成票を上回り、大阪市は存続することとなりました。
この構想は市民主権・地域主権に反するものであり、丁寧な説明や議論を抜きにした煽動的な手法も大きな問題であると考え、緑の党はこれに反対し(※1)、大阪府本部を中心に、多くの政治勢力や市民・市民団体と連携して、反対運動を進めてきました。
私たちは、この結果を歓迎します。
住民投票は拙速で、政党助成金から賛成派の運動に莫大な宣伝費がつぎ込まれるなど、さまざまな問題がありました。しかし、この重大な選択にあたって、これまで政治から距離を置いていた若者なども議論や運動に参加し、多くの有権者が、それぞれ自分で悩み、賛否の票を投じました。これは、日本の社会と有権者にとって、おまかせ民主主義から脱却して、自分たちの力で政治を変えていくための、貴重な経験として活かされるでしょう(2)。
一方、票差はわずか1万票あまり(0.8ポイント)であり、既成政党の大部分が手を結び、市民団体や緑の党のような新しい流れが加わってようやく「互角」程度であったことに、現在の政治のあり方に対する市民の大きな不満と、「改革」を求める根強い想いがあったことを認識する必要があります。その「改革」の想いを橋下・維新に奪われていることを、既成政党以上に私たちも厳しく受け止めなければなりません。
緑の党は、今回賛成票を投じた人々の意見にも真摯に耳を傾け、議論を重ねながら、草の根民主主義に基づく市民主権・地域主権の観点から、橋下氏や大阪維新の会が示すものとは異なる形で、地域の未来像と希望を紡ぎだして行くための議論と取り組みを重ねていきます。
註
(1) 2015年5月7日付声明「『大阪都』構想に反対します」
(2) 今回の「大阪都」構想や住民投票問題を通して浮かび上がった地域自治や住民自治の制度的課題などについて、別途「論説」として論点整理と議論を重ねる予定。
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