【声明】女性蔑視の森発言に強い怒りを表明します_辞任だけではなく、これをジェンダー~

【声明】女性蔑視の森発言に強い怒りを表明します
    辞任だけではなく、これをジェンダー平等社会に転換する契機に!

 

2021年2月12日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

 去る2月3日の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会における森会長の発言は、ジェンダー平等や民主主義を否定するものであり、私たち緑の党も強い怒りを表明します。国内外からの大きな批判を受ける中で、森氏は辞意を表明しましたが、これで終わるものではありません。

 この発言が、日本オリンピック委員会(JOC)がまさに女性委員を増やす方針について話し合う場であったことも驚くべきです。会長の立場でオリンピック憲章や女性差別撤廃条約など国際社会の平等理念を踏みにじり、その後も何ら自覚や反省もなく、形だけの謝罪・撤回で幕引きを図る姿は、森氏自身の個人的資質を超え、それを許している日本社会の根深い欠陥や古い体質を露呈するものでした。「(人事は)組織委員会がお決めになること」と他人事のように装う政府の姿も、実質的に森氏を容認し、後押しするものだと言わなければなりません。

 日本政府は昨年、2020年までに社会の指導的地位の3割を女性が担おうと策定した男女共同参画(通称202030)の達成を断念し、「20年代の可能な限り早期」に先送りしました。2003年策定から17年を経過しても、衆院における女性議員の割合は1割で、国際社会からは周回遅れと批判を受けています。森氏の発言は、ジェンダー平等に関するこのような日本社会の後進性の中で、いわば「自然に」発せられたものだと言えます。
 これは、森氏の辞任で済ませるべき問題でもありません。森発言で露呈した日本社会の後進性を社会として広く認識し、そうした社会の中で抑圧され続ける女性や社会的弱者が声を上げ、私たち市民がそれ支え、真のジェンダー平等へと大きく踏み出す契機とすべきです。これを機会に、私たちは「力強さを求める男権社会」に内包する脆弱性を認め、決別すべきです。

 私たち緑の党は、共同代表をはじめとした役員をクォータ制(半数以上が女性)に基いて選出し運営しています。また、「熟議と当事者主権にもとづく参加民主主義の実現」を求め、情報共有と議論を尽くして合意・決定していくよう努力を重ねています。
 緑の党のジェンダー平等の実践は今年で8年になりますが、多様性尊重と女性的視点による社会の様々な改革の有効性は、もっと実績を持つ諸外国の事例によって実証されています。コロナ感染症対策でも、女性議員比率が高く、女性がリーダーに就いている国々で多くの成功例を見ることは、偶然ではありません。

 今年は7月に東京都議会議員選挙、10月には任期満了に伴う衆議院議員選挙が控えています。各政党の男女の候補者数が均等になることをめざす「政治における男女共同参画推進法」(2018年)の理念を実践・実現するためにも、各選挙に向け、各政党の女性候補の比率が問われます。

 ジェンダー平等は、自由な言動を尊重しあって個性を輝かせる社会です。どんな性の人もその人らしく生きることが、社会をどれほど豊かにするか、その可能性は計り知れません。その豊かな社会に本格的に転換する契機とするために、私たちもその歩みの先頭に立って進んでいきます。

 

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