【声明】翁長県知事の遺志である「埋立承認撤回」を支持し、サンゴ礁の破壊に…

 【声明】翁長県知事の遺志である「埋立承認撤回」を支持し、サンゴ礁の破壊に抗議します

 2018年8月10日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

  沖縄県での米軍辺野古新基地建設を巡り、故・翁長沖縄県知事による「埋立承認の撤回」に基づき、沖縄県は昨日(8月9日)、沖縄防衛局の反論を聞く「聴聞」を予定通り実施しました。一方、政府は従来の姿勢を変えることなく「引き続き作業の安全に十分留意した上で関連法令に基づき自然環境や住民の生活環境にも最大限配慮」「辺野古移設が唯一の解決策」とし、沖縄県に対し法的対応も辞さない構えです。今月17日にも土砂投入が始まるとされ、現地では市民や環境団体などが抗議し、全国でも支援の声が広がっています。この間、度々示されてきた「辺野古の海に新基地は造らせない」という沖縄県の民意を無視し続け、強権的に民主主義や地方自治を踏みにじる政府に対し、私たちはあらためて強く抗議します。

 故・翁長知事の承認撤回は、公有水面埋立法で事業者に義務付けられている「環境保全・災害防止への十分な配慮」という要件が満たされていないことを根拠にしています。埋め立てを承認した仲井真前知事と沖縄防衛局との間で交わした「留意事項」でも、「埋め立て申請書添付図書を変更して実施する場合は、承認を受ける」としているにもかかわらず、防衛局は県との事前協議を行わず、環境保全措置を取らないまま工事を強行しています。私たち緑の党は、故・翁長知事の承認撤回には確固とした正当性があると考え、これを強く支持します。

 辺野古沖は絶滅危惧種であるジュゴンの北限の生息地であり、工事によってジュゴンの生息環境は深刻な打撃を受ける危険性があります。また、海底に広がる貴重なサンゴ礁も、大きな損害を受ける可能性があります。沖縄防衛局はサンゴ礁の「保全」のために工事予定域のサンゴ礁の移植をしようとしていますが、サンゴの移植研究者である大久保奈弥・准教授(東京経済大・博士)は「移植によるサンゴ礁生態系の保全再生は極めて困難なのが実情。サンゴの移植が『環境保全措置』として、サンゴ礁の埋め立て開発の免罪符に使われること自体に問題がある」と指摘しています。また、今年は「国際サンゴ礁年」(※1)にあたり、さらに「生物多様性の10年」の期間にあり、日本は2010年のCOP 10議長国として「愛知ターゲット」(※2)を牽引する責務があります。いかなる理由があっても、こうした貴重な海は開発されるべきでなく、むしろ辺野古海域はジュゴンとサンゴの保護区に指定すべきです。

 安全保障上の観点からも、朝鮮半島情勢の変化にもかかわらず、20年以上前の合意に固執する根拠も正当性もありません。とりわけ、2012年5月の「2プラス2」での見直しでは、司令部ではなく実戦部隊9000人の移転が決まり、沖縄に残るのは2000人規模の第31海兵遠征隊(31MEU)だけということになりました。その31MEUも、1年のうち半分は、アジア太平洋地域の各拠点をローテーションしていて、沖縄にはいません。沖縄に基地を新設することなく普天間基地を返還する現実的な提案も民間のシンクタンクからなされています。

 現地では、猛暑の中で多くの市民が抵抗を続けていますが、連日、沖縄防衛局は不当な排除・暴行を続けています。私たちは沖縄防衛局に抗議するとともに、沖縄県の撤回手続きに従って、埋め立て工事を中止するよう強く求めます。
 あわせて、最後まで沖縄県民のため信念を貫いたまま逝去した翁長知事に深い哀悼と尊敬の意をあらためて表するとともに、知事の遺志や県民の意思を実現するため、私たちは他の野党や沖縄県内外の市民と共に全力を尽くします。

 


1) 「国際サンゴ礁年2018」https://www.env.go.jp/nature/biodic/sango2018/index.html

2) 愛知ターゲット https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/2205.html から抜粋
〇 目標10 サンゴ礁などの気候変動や海洋酸性化の影響を受ける脆弱な生態系への人為的圧力を最小化し、その健全性と機能を維持する」
〇 目標11 生物多様性と生態系サービスにとって重要な地域を中心に、陸域および内陸水域の少なくとも17%、沿岸域および海域の少なくとも10%を、効果的な保護区制度などにより保全する」

 

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