【報告】ドイツ連邦参議院議長(緑の党)クレッチュマン氏との会談

ドイツ連邦参議院議長(緑の党)クレッチュマン氏との会談

国際担当運営委員 郡山昌也

5月19日~24日にかけて、ドイツ連邦参議院議長で、緑の党の政治家としては唯一の州首相(バーデン=ヴュルテンベルク(BW)州)ヴィンフリート・クレッチュマン氏が初来日しまた。BW州は、ベンツやポルシェなどの自動車関連企業が本拠地を構えるドイツ経済のけん引役です。今回は日本の参議院議長の招待による来日で、外交儀礼上第4位のドイツ連邦共和国の代表として、衆議院議長や国会関係者並びに政府関係者と意見交換を行い、姉妹都市である神奈川の黒岩県知事や、福島県の佐藤県知事らとも会談しました。

                

クレッチュマンさん(BW州首相)には、駐日ドイツ大使や同州の欧州・国際関係担当大臣、環境大臣、学術・研究大臣や多数の経済・学術関係者、マスコミなどが同行しました。
ドイツ初の「緑の党」所属の州首相として、環境政策、エネルギー政策に長年高い関心があるクレッチュマンさんは日本の取り組みに強い興味を持っており、特にエネルギーシフト(グリーンテクノロジー、再生可能エネルギー)を重点テーマと位置づけて、神奈川や福島などを訪問。今回の視察や議論を通じて知見や交流を深めました。

                

【緑の党で初の州首相&参議院議長との会談】
昨年、私たち緑の党メンバー(共同代表、運営委員長、国際局長)は、ハノーバーで開催された第34回ドイツ緑の党大会に来賓として招待されました。その際、会場でクレッチュマンさんとの会談を持ち、来日の際にはぜひ意見交換をしたいと要請されていました。
関連ブログ記事:http://organic.no-blog.jp/weblog/2013/01/in_2012_5cde.html

                

【福島県における復興の現状とその課題】
5月22日には、福島市内でクレッチュマンさん主催の円卓会議「福島県における復興の現状とその課題」が開催されました。2011年3月の福島原発事故の直後に実施された州議会選挙で、連立パートナーの社民党よりも緑の党が高い得票を得て、ドイツで初めて緑の党の政治家としてBW州首相に当選したクレッチュマンさん。福島原発事故から2年後の、実態と問題点を知りたいとの趣旨でした。その会議には、ドイツ連邦参議院事務総長のゲルト・シュミット氏やBW州首相府広報官のルドルフ=アレクサンダー・ホーグフリート氏。福島県双葉郡川内村村長の遠藤雄幸氏。復興庁福島復興局長の丸山淑夫氏。福島大学准教授の大黒太郎氏。そして、緑の党会員で双葉郡富岡町からの避難者の木田節子さん(参院選予定候補者)がパネラーとして会議に参加しました。

                

復興庁復興局長の丸山淑夫さんは、国としての復興事業計画や体制のこと。この2年間の空間線量推移によって警戒区域および避難指示区域、住居制限区域の見直しを進めていること。年間積算線量が年間20ミリシーベルト以下になることが確認された地域では、避難指示解除の準備を進めており、除染や帰村など進んでいることを報告されました。
これに対して、福島第2原発から8kmの場所に家がある富岡町からの避難者の木田節子さん(緑の党会員)は、帰宅したくてもできない自宅の写真や放射能汚染地図を示して、“原発難民”としての悲惨な状況を説明されました。また、子どもたちを放射線管理区域内に置いて、被ばく線量が年間20ミリシーベルトの地域内に帰還を進める政府の方針について、本当にそれでいいのかと丸山局長に問う場面もありましたが、局長は答えませんでした。

                

【ドイツ緑の党の大先輩との意見交換!】
5月23日には都内のリッツ・カールトン東京で、緑の党共同代表のすぐろ奈緒と運営委員長の漢人明子、副運営委員長の宮部彰と村松まさみ、国際局長の郡山昌也がクレッチュマンさんたちと会談しました。ドイツ側からは、クレッチュマンさんと駐日ドイツ大使のフォルカー・シュタンツェル氏。ドイツ参議院事務総長のゲルト・シュミット氏やBW州首相府広報官のルドルフ=アレクサンダー・ホーグフリート氏ら。それに、州政府関係者やマスコミ各社もオブザーバーとして参加しました。

                

この日のクレッチュマンさんは、ドイツ緑の党の創設期からのメンバー(僕らの大先輩!)として、その歴史から話を始めました。1980年に全国政党として設立。この年に初めてBW州で6議席を獲得したが、初挑戦の国政選挙では敗北。1983年に初の27議席を国会で得たこと。現在は68名の国会議員を擁する第3党に成長。1998年~2005年には社民党との連立政権で、再生可能エネルギー法(※固定価格買取制度:2000年)や改正原子力法(※2022年の原発全停止:2002年)などを導入して、現在の「脱原発の実現」と「再生可能エネルギー産業の躍進」の基盤を30年かけて作ってきたことなどを話してくれました。

【未来に向かう再生可能エネルギー!】
日本側からは、現在の緑の党の概要や政治状況、参院選に向けた選挙状況 などを報告しました。また、あれだけの被害を出した福島原発事故を受けて、世論調査などでは7割以上の有権者が(10年後までの)脱原発を望んでいるはず なのに、昨年末の総選挙で自民党が圧倒的な勝利を収めた理由などについても質問され、その説明を熱心に聞いていました。

                 

クレッチュマンさんは、21日に衆議院第一議員会館国際会議室で、脱原発を目指す国会議員による「原発ゼロの会」と専門家などの「国会エネルギー調査会準 備会有識者チーム」が主催した勉強会で「ドイツにおける脱原発の現状」について講演されました。同じ内容をこの日も紹介してくれましたが、驚いたのは、例 えばすでにBW州に占める再生可能エネルギーの割合は23%に達していて、2020年の目標は38%だということです(日本はまだ数%…)。そして、世界 の再生可能エネルギー産業の市場規模は2011年で3000億€(39兆円)に成長しているそうです。ドイツだけで38万人分の雇用も産んでいるとか…。 またドイツでは、4大電力会社が寡占状態で独占していた電力市場を1998年に自由化したことで、現在では個人や協同組合を入れて中小14万社のプロバイ ダーがいるとのこと。

                

そして、クレッチュマンさんが州首相を務めるBW州では、再生可能エネルギー関連の雇用がなんと自動車関連の雇用の半分近くまで伸びているそうです。このグリーンな産業の飛躍的な発展に、州首相としてもワクワクしているという言葉が印象的でした。また、エネルギーシフトを進めるためには、環境面だけでなく経済面でも有望な取組みだという市民による合意形成が不可欠であること。そして、ドイツ緑の党30年の経験から、「市民の政治への参加(参加民主主義)」が成功への大きな処方箋だと強調されていました。最後に、参院選に向けて脱原発実現のための代替案として「未来に向かう再生可能エネルギーへのシフト」を打ち出すことを提案していただき、深く共感しました!

【スマートジャパン】:電力の50%を風力と太陽光で得たドイツ、記録更新中
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1304/23/news022.html