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【世界のみどり】ドイツ緑の党メンバーと会談

2015/10/26 ドイツ緑の党連邦議員 経済財政担当Dr.ゲアハルト・シックさんとの会談報告

緑の党共同代表 長谷川平和

シックさん




【写真】向かって右:ゲアハルト・シックさん 左:長谷川平和


2015年10月24日(金)都内のホテルにて、ドイツ緑の党連邦議員、経済財政担当Dr.ゲアハルト・シック(Gerhard Schick)さんと緑の党グリーンズジャパンの共同代表、長谷川平和とで朝食会談をおこないました。シックさんは、1996年に緑の党の会員、2005年に連邦議会選挙にはじめて立候補し、2007年からはドイツ緑の党連邦議員団の財政政策スポークスマンとして活動してきました。フライブルク大学で財政学の博士号を取得したシックさんは、経済・財政政策について、気候保護、生物多様性、国際社会の公平性、民主主義など緑の党の理念や目標を達成するための様々な政策を提案しています。 

シックさんは、今回ドイツ連邦議会財政委員会の使節団として来日し、「人口減少社会」をテーマに日本の金融・財政関係者と会談し、情報交換を精力的に行いました。会談の席では冒頭に、今回一週間の訪問を通じた印象として次のことを仰っていました。

「ヨーロッパを訪問していると、どこへ行っても、どのレベルの会談でも必ず女性がいるものだが、今回日本の訪問先では、お水をだしてくれるスタッフ以外女性はいなかった。日本においてフェミニやジェンダーの問題は、どのように扱われているのですか?緑の党ではこの問題についてどういうスタンスでしょうか?」

緑の党では組織的にはクオータ制をとり、政治などの場においてもクオータ制導入を主張していますが、社会全体としての運動はほとんど盛り上がっていないのが実情です。現安倍政権は「2020年までに女性管理職30%」などの目標をあげていますが、女性の権利や社会のあり方についてのアプローチがないことなどを話しました。また、女性の活用は、アベノミクスと経済成長を支える労働力としてみる側面が強く、実際の社会の意識変化はほとんど感じられないということ。そして文化の違いがあるかもしれないが、いろいろなアクションをとりながら問題提議していくことが重要であることを語りました。

経済政策
これまでドイツでは様々な環境政策が行われていますが、大企業が力をもった市場経済や投機で価格が変動する金融・不動産市場などにおいて「エコロジー」という観点から政策決定行うのは限界があります。ドイツ緑の党では経済成長を肯定しませんが、否定することもなく、焦点を「生活のクオリティーを向上させる」ことで、エコロジー的な観点が少しでも居場所を見つけられるようなバランス関係をつくることを訴えています。シックさんの提案する経済、政策などは、著書「Machtwirtschaft Nein Danke (権力の経済はいらない)」という本にまとめられ、現在、保守派や経済学者のあいだでも好評のようです。その他の彼の著書についても日本語への翻訳も可能かもしれないということでしたので、今度依頼しておこうと思います。

財政政策
ドイツの財政はバランスのとれた財政運営をしているとの評価を日本ではされることが多いですが、シックさんの話によれば「パッシブ」的な部分によるところが多く、好調な輸出企業をなどの税収増にも助けられたという面があり、アクティブな均衡財政政策によるものではないとのことです。しかしながら、日本の財政赤字を解決するにはパッシブ(景気回復によって税収増を期待するような)な政策では難しく、いずれ増税や公的資産の売却等も議論しながら、アクティブな取り組みが必要であると話しました。また、実質経済成長率2%の達成も、現実的には難しいといいう見方もされています。

さらに、人口が減少していくような社会ではそもそも実質経済成長をもとめていくような社会のあり方は、人々に大変なストレスを与えます。現在、ドイツでは大学のシステムも代わり、学生も時間に追われるような生活を送り、他のもっと興味深いもの、例えば政治活動や市民活動に参加する時間が無くなってきており、どのように社会との係わりをもてるための時間をつくっていく政策が、特に日本で重要であると話していました。民主主義には時間が必要であり、生活の質を高めるための時間をつくっていくような政策が必要であると仰っていました。

難民問題
昨今ニュースでもとりあげられましたが、ドイツの移民問題は社会を右傾化させる傾向があります。今回の大量の移民流入に関して、実は今年3月にはある程度予測され、2015年の末までには45万人の移民がドイツにくるという予想を政府はしていました。しかしながら、8月中旬には60万人に修正された直後、今回の大規模な移民の波により9月の時点で60万人をすでに超える事態となりました。ドイツだけでなく、ヨーロッパ全体で大きな問題となっています。

シックさんの話では、難民のための折り畳み式のベッドはすでに在庫がつき、医療、教育のための人的リソースも限界を超えていて、政府が対応するには限界を超えているそうです。こうした状況を市民団体が率先して難民に対応にあたることで、本来国が果たすべき役割の一部を補完してくれました。しかしながら、連邦では野党でも、州では与党としての役割を果たしていかなければならないドイツ緑の党は、確固たる対応が求められています。ドイツの法律では国内すべての人に最低限の生活が保障されており、人道的な観点からも難民に対してしっかりとしたサポートを求めていく野党としての立場と、限られた財源と人的資源の狭間で、文化や言葉の壁を乗り越え社会への統合を図っていくような役割も求められています。難民の問題は、目を開けも目の前にある問題ないので、非常に難しいかじ取りが求められています。

一時間という短い間でしたが、シックさんとの会談はとても有意義でした。会った瞬間に仲間意識が芽生えるのは、どの国の緑の党の仲間とあっても共通の経験です。今年の秋はまだまだ来日が企画されていますが、しっかりと彼/彼女らの考えを伝達し、情報共有をできればと考えています。

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