(保存用)政策⑦基本的人権を保障し、 多様なあり方を認め合う

 

⑦  基本的人権を保障し、多様なあり方を認め合う

 

現状と課題

私たちの暮らす社会には、異質なもの、理解できないものを排除しようとする力があります。それは物理的・精神的な暴力や排除にもつながり、特に差別される側にとって深刻な事態を引き起こしています。また、そうした差別意識は、しばしば政府や企業によって利用され、差別構造が固定化・拡大してきました。しかし社会や文化の豊かさや発展は、多様性があるからこそ成し遂げられてきた事実を認識する必要があります。

<性的マイノリティ>
存在が見えず、遅れる支援

性的マイノリティの多くは、見た目には分からないので、家族でさえその存在に気づかないという特徴があります。社会に根強くはびこる差別や偏見のため、地縁や血縁に頼れず、社会的な支援が必要なときに声をあげにくく、周囲の心ない言葉や、メディアの偏った情報に日々傷つけられています。さらに、自らが性的マイノリティであることを受けとめられない、あるいはカミングアウトできない、という悩みを抱え、自殺念慮や自殺の行動化も指摘されています。

そのため、当事者団体のピアサポートと公的なサポートが連携して当事者支援を展開すること、当事者団体や専門家等と連携した啓発活動、学校教育などが欠かせません。

性のあり方によって不利益を被らない性に中立な社会制度、法制度の整備が急がれます。

<在日外国人・外国人労働者>
迫られる歴史的な責任と多様化への対応

在日外国人は、戦前から現在の日本の領土に居住しているかつて日本国民だった旧植民地の人々とその子孫である特別永住者(約39万人、韓国・朝鮮国籍を保持する人々が99%以上)と、原則10年以上継続して日本に在留し、一定の要件を満たして永住許可申請をし、許可された一般永住者(約60万人)、そしてその他の外国籍保有所です。

特別永住者は、韓国・朝鮮人としてのアイデンティティの保持に重きを置く高齢者と、アイデンティティを表面上放棄する形で日本名で日本国籍を取得(帰化)する「在日」3世以降という傾向のなかで、この20年間で44%減少しています。

国籍や在日理由も多様化する中、さまざまな当時者の声に耳をかたむけることが求められています。国際結婚における子どもの人権や、女性差別に基づく弊害を配慮した改善も必要です。

すでに230万人の外国人労働者が日本の経済を支えている一方、その背景には日本と相手国との経済格差があり、安価な使い捨て労働力として酷使されている現実があります。また、外国人登録法の改定(2012.7月施行)による在留カード義務化など新たな問題も発生しています。

<先住民族の人権を尊重し、自治と復権を進める>*この項は精査中です。後日差し替えます
求められる生活と文化の復権

2007年「先住民族の権利に関する宣言」が国連総会で採択され、日本では2008年「国会決議」を通じてアイヌ民族が先住民族として認められました。これを受け、政府の「アイヌ政策推進会議」において政策立案が進められていますが、先住権について検討がされないなど不十分な現状になっています。アイヌ民族は日本の植民地支配によって圧迫され、現在も差別や困窮に直面しており、生活と文化の復権が早急に求められています。

<障がい者>
障がい者が地域で学び生きる制度・環境整備がすすまない

すべての障がい者が安心して地域で自立した生活を可能にするための、応益負担で障がい者の生存権を考慮していない障害者自立支援法の廃止と包括的な新法の制定が進められようとしています。しかし当事者参加の過程をないがしろにした骨抜き状態で強行されようとしています。また、「特別支援教育」の見直しもインクルーシブ(包括的)教育の方向に沿ったものとはなっていません。障害者権利条約の批准、国内法の整備を早急にすすめる必要があります。

<部落差別>
いまも続く日本社会の重要な人権問題

部落差別によって不当逮捕された狭山事件の石川一雄さんは、約半世紀たった今も無実を訴えていますが、再審の扉は開かれていません。今日でも、部落差別はさまざまな形で存在し被差別部落の人々に苦痛と悲しみ、甚だしい人権侵害を与えています。

1969年同和対策特別措置法が施行以来続いてきた同和行政に関する法的措置は2002年3月に終 止符が打たれました。

部落の環境改善や生活保障は改善されましたが、いまなお、不十分な地域も残されています。

また、必ずしもハード面の改善が、意識面の理解につながらず、今も、結婚、就職おける差別、インターネット上での差別表現は陰湿さを増しています。

部落差別による人権侵害をなくし、救済するための独立性の高い「人権救済機関」の早急な設置が求められます。

そして、土建や産業支援偏重、給付型のこれまでの施策を見直し、ソフト面での支援のきめ細かな充実が図られなければなりません。

可能性に挑み、誰もが生きる希望のもち、安心して「一人でも一人にならず暮らせる社会」を創造することです。

 

個別政策

  • 人権侵害案件を精緻に統計化
  • 法務省から独立した差別被害の救済制度を創設
  • 国際人権規約で国連に人権侵害を告発できる第一選択議定書、および死刑廃止の第二選択議定書の早期採択
  • 性的マイノリティの子どもに特化した教育プログラム(フリースクール)をモデル事業として開始
  • 公教育において、民間団体などと積極的に協力し、出前授業を開催
  • 性的マイノリティへのいじめ問題に対する教育現場でのガイドライン策定
  • 公営住宅の親族条項の廃止
  • 看取り、手術の同意、葬儀の執行、財産継承などを可能にする同性パートナーシップ制度を
  • 外国籍パートナーの在留資格認定
  • 現在のような身体的性別から社会的性別の認定へ
  • 医師、看護師、医療従事者、教師、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーなど学校関係者、法曹への性的マイノリティに特化した研修の実施
  • 一般永住者を住民投票条例の対象とする
  • 外国人労働者の受け入れについては使い捨て労働力の拡大につながらないよう慎重に対処し、特に安価な労働力として使われている外国人研修制度の見直しなどを図る
  • 障がい者に対するさまざまな排除や制限、分離をなくすため、障害者差別禁止法・条例を制定
  • 国連・障害者の権利条約の早急な批准と、国内法・制度の整備
  • 学校教育における精神疾患・障がいの学習プログラムを導入する。
  • 精神障がい者の分離をなくすために、精神病院の削減や大規模障がい者施設の分散をすすめる。
  • 部落の生活課題解決のための相談活動への支援
  • 部落内外に居住する住民の交流促進
  • 地域の歴史や実態に沿った人権教育や人権ワークショップなどの推進