【声明】 「エネルギー基本計画案」は撤回へ

【声明】 「エネルギー基本計画案」は撤回へ
     -再生可能エネルギーと「エネルギー・デモクラシー」で持続可能な社会の実現を

2013.12.14 緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 経済産業省の諮問機関「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」は、去る12月6日に政府が示した「エネルギー基本計画」の素案を昨日(13日)、了承しました。
 同計画は3年程度に一度改定されるものですが、「3.11」以来初めての計画として、本来、深刻な原発事故の教訓を学び、事故を引き起こした政治や社会、経済のあり方を根本的に見直したところから出発すべきものでした。

 ところがこの計画案は、「エネルギー政策の新たな視点」として「経済成長に貢献」することを打ち出し、「優れた安定供給性と効率性」「運転コストが低廉」「温室効果ガスの排出もない」という破綻した「神話」に依拠して、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけ、「(準)国産エネルギー」であり、「その推進はエネルギー自給率を高める」として原発推進を明記しました。前民主党政権が掲げた「原発ゼロ目標」と国民的議論を否定し、時計の針を震災以前に巻き戻すものです。

  しかし、福島原発事故で明らかになったようなコントロールできないリスク、廃棄物の管理など、数十万年に渡って将来世代に負担を押しつける原子力発電が私たちの生活の「ベース電源」になってはなりません。経済成長至上主義と地方に犠牲を強いる一極集中型の構図から抜け出し、持続可能な地産地消のエネルギー政策を後押しすることこそ、「3.11」後の計画の骨子であるべきです。そして将来世代や環境へのリスク、コストなどの正確な情報が徹底的に公開され、市民自身が民主的な議論を重ねて地域や国のエネルギー政策を決定する「エネルギー・デモクラシー」を実現しなければなりません。

 安倍政権成立後、基本政策分科会の委員の多くが推進派に入れ替えられました。計画案は、福島原発事故後のエネルギーのあり方を問うために前政権下で取り組まれたパブリックコメント(約8万9,000件のうち「原発不要」が9割)も無視して作成され、特定秘密保護法案をめぐって国会が混乱していた12月6日に提示されました。日本において知る権利と民主主義が大きく後退した時を同じくして、エネルギー政策における民主主義も大きく後退しようとしています。
 しかし私たちはここで民主主義と持続可能な未来をあきらめるわけにはいきません。この計画案に対するパブリックコメントは来年1月4日まで受け付けられます。私たちは、パブリックコメントを通して、また政府や国会への働きかけを通して、そして街頭での活動やさまざまな回路を通して、この計画の撤回を求めるとともに、志をともにする多くの市民とともに、持続可能な社会を支えるための「エネルギー計画」を議論し、提案していきます。

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