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【提言】希望の福島へ 4つの緊急提言

2012/08/13

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「希望の福島へ」表紙はじめに

  希望を持って安心して暮せる福島を取り戻したい。
  3.11原発事故によって、福島の人たちはさまざまな苦しみを背負わされ、人としてあたりまえの希望を持ち続けることが困難な状況に置かれています。

子どもたちが健やかに生き生きと育って行く希望
家族や友人とともに楽しく暮し続けたいという希望
長年住み続けてきた愛着ある地域で生きていく希望
生きがいと生活を支えるための充実した仕事への希望
自然や大地とともに仕事の営みを続けていく希望
将来への不安なく健康であり続けられるという希望

そして
不測の事態に出会った時に信頼できる政府への希望

  福島の多くの人々にとって、これらの希望を持ち続けることは、今もなお極めて困難な状況であることに変わりはありません。3.11以後、1年半近くを経ているにもかかわらず。

  私たちは宣言します。福島の希望を語らずに日本の希望を語ることはできないと。
  
  しかし政府が7月13日に閣議決定した「福島復興再生基本方針」には「福島の再生なくして、日本の再生なし」と書かれていますが、政府の政治的責任を認めず、産業復興中心で避難の権利への保障も不十分です。原発についても、大飯原発の再稼動、エネルギー計画では原発の新設も含まれる「15%」案へと誘導しようとしています。

  福島の希望を語るためには、「責任を取らせること」「原発を稼動させないこと」「分散型エネルギー社会をめざすこと」「避難の権利と留まる権利を保障すること」が必要不可欠な前提です。
  このような思いを込めて、私たちは「希望の福島へ 4つの緊急提言」を発します。

     デモ行進     シンポジウム

 

【緊急提言1】
  責任を取る社会・政治へ

  原発事故でかけがえのない故郷を根こそぎ奪われた福島県民の心痛を知ること

  東電・福島原発事故によって、数百万人とも数千万人ともいえる人々が、甚大な被害と苦痛を受けています。この事故は、東電と国による歴史上比類なき業務上過失致死傷事件です。今年4月に起きた関越自動車道高速バス居眠り運転事故では、当然のこととして運転手は逮捕され、会社社長も起訴され、責任を問われています。しかし昨年の3月に起きた福島原発事故では、東電や政府関係者の誰一人として法的な刑事責任を問われていません。
  責任ある者が責任を問われなければ、無責任体質は変わりません。福島原発事故の責任が問われなければ、「第二第三のフクシマ」が引き起こされることは避けられません。
  野田首相は大飯原発再稼動を決断するにあたって、「最終的には総理大臣である私の責任で判断したい」と述べました。他方で「原子力事業者がその損害を賠償する責めを負う」と述べています。この矛盾した発言、責任をあいまいにしようとする姿勢に、福島原発事故を引き起こした原因が凝縮しています。また、政府は「原子力ムラ」直系の田中俊一氏を委員長とする「原子力規制委員会」人事案を作成するなど、責任を取らないまま「原子力ムラ」を再興させようとしています。
  福島原発事故の責任を取らせることが、「第二のフクシマ」を防ぎ、福島の希望を語るための大前提です。私たちは提言します。

■福島原発告訴団の告訴・告発を支持します
■原発を推進した政治家の責任は、選挙で落選させることを訴えます
 ※政府は、「社会的責任」は認めていますが、政治的責任は認めていません
■「原子力ムラ」と決別した原子力規制体制を要求します

告訴

 

【緊急提言2】
  原発ゼロへ即時廃炉を
 
  フクシマの悲劇を二度と繰り返さないために

  福島の希望を語るうえで、脱原発は欠かせません。地震国日本で原発を稼動させれば、「第二のフクシマ」は避けられません。私たちは一基の原発も稼動させないために全力を傾注します。
  適切な節電などで原発がなくても電力が足りることは明らかです(図①参照)。大飯原発再稼動の理由は、関西電力が倒産してしまうからです。安全よりも原子力村の利権が優先されたわけです。

電力需要グラフ

2012年夏の電力会社別の電力需要(ISEP推計)

 他方で政府は、18年後の2030年に原発「0%」「15%」「20~25%」の3つの選択肢を示し、たった一ヶ月の意見表明や議論で、今後のエネルギー計画を8月中にも決めようとしています。そもそも「原発を稼動しない」という選択肢がありません。さらに、「15%」の選択肢は、明らかに原発の新設、40年以上の稼動、福島第二・女川・浜岡の稼動などを見すえたものです。政府の意見聴取会への応募者の大多数が「原発ゼロシナリオ」を支持しています。政府はこうした民意をしっかりと受け止めるべきです。
  最大の問題は、最終的に決めるのが政府だということです。昨年8月の玄海原発の「やらせ」ヒアリングと同じように、「国民の声を聞き置く」という儀式が繰り返されようとしています。脱原発を宣言した福島県民の声も、数万人の首相官邸抗議行動の声も、7割を超える脱原発の民意も受け止めることなく、原子力ムラの利権を優先する選択は許されるべきことではありません。
  原発の是非をめぐる判断は、民意に基づいて判断されるべきです。私たちは提言します。

■再稼働を止め、少なくとも1年の熟議を行うべきです
■原発ゼロの民意を前提に、選択肢に即時廃炉を入れるべきです

 

【緊急提言3】
  地域分散ネットワーク型エネルギーへ

  再生可能エネルギーの促進と省エネでエネルギー大量消費社会を見直す

  私たちのエネルギー大量消費社会は、化石燃料と原子力に依存し、どちらも限りある資源であることを忘れ、自然の循環を超えてやみくもに利用してきました。その結果が、人の持続可能な営みと自然循環を根底から破壊してしまう気候変動の脅威であり原発被災でした。
  また、エネルギー大量消費社会は電力需給の一極集中を必要としました。図②に示されているように、東京へのエネルギー供給基地としての福島と、福島にエネルギーを依存する東京のいびつな関係は、原発がもたらしたものです。
  福島はこのエネルギー大量消費社会の犠牲になりました。福島が未来への希望を見出すためには、エネルギー大量消費社会の根本的見直しが必要です。
  私たちは提言します。

■自然の循環の中で暮らすために、エネルギー循環消費社会への大転換と
 再生可能エネルギーの大胆な促進をめざします。

■地域分散型エネルギーである再生可能エネルギーの性質に合わせた、
 分散ネットワーク型エネルギー社会への転換をめざします。
 そのためには発送電分離が必要です

※なお、いわゆる先進国(OECD諸国)が、それ以外の諸国の4倍ものエネルギーを消費しています。エネルギー消費のグローバルな公正の観点からもエネルギー大量消費の削減が求められています。

需給バランスグラフ

※資源エネルギー庁『電力需要の概要』、電気事業連合会『電気事業便覧』、日本電気通信社『電力発電設備総覧』より、新潟県が試算・作成したグラフからの抜粋
※電気事業者の1995年度における都道府県別発電推計から10社の都道府県別最終消費者向け販売量を差し引いたものを、他県への供給、あるいは他県からの受電量とした試算
※都道府県別水力発電量は新潟県統計課の推計。火力発電は汽力発電のみ。送電ロスは考慮していない

 

【緊急提言4】
  「避難の権利」と「留まる権利」の保障を

  「原発事故被災者支援法」による具体的施策を早急に実施すること

  健全な生活を行っていれば健康であり続けられるだろうという安心感は、希望を持って生きるためのかけがえのない前提です。しかし福島ではそれが失われています。
  放射線被曝を避けるために避難するのか、それとも健康リスクを覚悟して住み続けるのか、困難な選択を迫られる状況が続いています。
  政府の福島復興再生基本方針は、除染・帰還と復興作業を優先し、避難者に対して十分な保障をしてきませんでした。避難先の生活保障のための罹災証明書の発行が避難指示地域に限定され、その他の地域の自主避難者に発行していないことがその象徴です。
  6月21日に成立した「原発事故被災者支援法」は、福島の住民およびNGOなどの市民団体による働きかけによって成立しました。この法律は被害者が被災地に居住するか、避難するか、または避難した後帰還するかについて、避難者自身の自己決定権を認めた画期的なものです。
  しかし具体的な施策はこれから策定されます。原発事故による追加被曝線量が年間1ミリシーベルトを超える地域全体が「支援対象地域」として確定しているわけではありません。また、医療の減免措置もその額や対象が具体的に規定されているわけではありません。さらに、原発の完全収束のための長期間の作業では、廃炉や除染を現場で従事する下請け労働者の健康が心配されます。
  私たちは提言します。

■事故による追加被曝線量が年間1ミリシーベルトを超える地域を「支援対象地域」とすること
■当該区域に居住する者または居住した者に対する医療費・健康診断費用の無料化

■廃炉・除染に従事する労働者を被曝から守ること

汚染地図

【出展:朝日新聞2011/10/11】

 

福島の希望は日本の未来

   「希望の福島」は、一朝一夕に実現できるものではありません。また、福島県民だけで実現できるものでもありません。市民、政府、自治体が協力し、お互いの責任と役割を確かめながら実現されていくものです。
  4つの緊急提言は、東電福島原発事故を忘れずに「希望の福島」を実現するための基本原則であり、大前提だと私たちは考えます。その大前提のうえに、はじめて生活・働く場・コミュニティなどを保障し、「希望の福島」へのビジョンが語られ具体的施策が実行されるべきだと考えます。
  私たちは宣言します。福島を忘れずに、福島の希望を語ることは、日本の未来を語ることになると。

 

2012.7.28 緑の党 GREEENS JAPAN

 

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