【声明】COP27閉幕を受けて 気候危機対策に逆行する岸田政権に抗議します

【声明】 COP27閉幕を受けて

気候危機対策に逆行する岸田政権に抗議します

2022年11月28日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

1.5度目標を放棄した国際社会

 11月6日からエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されていたCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会合)は会期を2日間延長し11月20日に閉会しました。

 今年はパキスタンで国土の3分の1が冠水するという甚大な被害が発生し、各国で干ばつや熱波、森林火災が頻発し、人類はまさに気候危機に直面しています。

 UNFCCC(国連気候変動枠組条約)事務局はCOP27直前に「昨年のCOP26以降、CO2削減目標を引き上げた国は24カ国にのぼるが、提出し直された各国の削減目標が実施されたとしても、世界は、2.1〜2.9℃の気温上昇を経験することになる」と報告していました(※1)。にもかかわらず、日本を含む多くの国々は削減目標を引き上げず、今回のCOP27は「1.5度目標達成に向けて2030年までに45%のCO2を削減する」という目標を事実上放棄した会議となってしまいました。極めて遺憾です。

 

気候犯罪を続ける岸田政権

 COP27が1.5度目標を放棄した会議に終わったとはいえ、アメリカ・フランス・ドイツ・イギリスなど、気候対策に大きな責任を負う国々をはじめ、約100カ国からトップがエジプトに駆けつけました。これに対し、世界で5番目(※2)の二酸化炭素を排出している日本の岸田首相は「諸般の事情を踏まえ」という理由で欠席しました。

 そして、「2019年から2021年までの3年間で、化石燃料に対して合計318億ドル(約4兆7700億円)の公的支援を行った」として日本政府は今回もNGOから贈られる不名誉な化石賞を受賞しました(※3)。また、会場では日本政府による福島の復興をアピールする展示があり、会場やSNS上で多くの批判があがりました。

 加えて、今COPでの数少ない成果である、途上国への損失と損害(Loss and Damage)への基金についても、日本政府は反対の立場を表明し交渉の足を引っ張りました。

 「COPが各国の権力者によってグリーンウオッシュ(嘘やごまかしの温暖化対策)を訴える機会として利用されている」として不参加を表明したグレタさんの言葉どおり、日本政府は「クリーンエネルギーを主軸とする産業構造・社会システムへの転換」を掲げながら、グレー水素(化石燃料から作る水素)やブルー水素(「CO2が洩れないよう注意した」グレー水素)の活用、そして実効性の低いCCS/CCUSによる石炭火力温存、そして原発の再稼働・新増設を進めようとしています。これら一連の岸田政権によるグリーンウォッシュは、MAPA(気候変動の影響を受けている人びと)への人権侵害であり、気候危機という人類存亡の問題に対する「気候犯罪(Climate crimes)(※4)」以外の何ものでもありません。また、これらの気候犯罪を批判できていない日本のメディアにも強く改善を求めます。

 

市民と自治体議員の力で来年2023年を気候民主主義実践の年に!

 COP27において国際政治が「1.5度目標」を放棄していること、そして岸田政権による気候犯罪が明らかとなりました。しかし、私たちに落胆する時間は残されていません。気候危機の進行、気候崩壊を回避するために、自身のくらしから省エネ、再エネ利用など、健康増進、エネルギー高騰への抜本的解決にもつながる気候対策を進めることを呼びかけます。

また、来年2023年4月には統一自治体選挙に際して、緑の党の議員も参加する「気候危機・自治体議員の会」による「ストップ!気候危機 2023統一選アクション(※5))」が展開されます。このアクションに参加する議員・候補者と共に「気候市民会議」「公正な移行」などを進める気候危機・自治体議員を増やし、気候民主主義(※6)実践の年とすることに力を尽くします。

 

※註

1)【COP27】1週目報告 (WWFジャパン)   
   https://www.wwf.or.jp/activities/activity/5180.html

2)2019年 世界の二酸化炭素排出量JCCCA)
 https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge04

3)【COP27】日本が化石賞を受賞しました (WWFジャパン)  
 https://www.wwf.or.jp/staffblog/activity/5177.html

4)ユネスコ「Climate crimes must be brought to justice」
 https://en.unesco.org/courier/2019-3/climate-crimes-must-be-brought-justice

5)ストップ!気候危機 2023統一選アクション(気候危機・自治体議員の会)
 https://cedgiin.jimdofree.com/action2023/

6)『気候民主主義』(2022年2月・三上直之 著)
 https://www.iwanami.co.jp/book/b605137.html

 

PDFファイルは⇒ https://greens.gr.jp/uploads/2022/11/seimeiCOP27.pdf