【声明】札幌地裁が泊原発の運転差止を命じる -原発政策からのすみやかな撤退を

【声明】札幌地裁が泊原発の運転差止を命じる

-原発政策からのすみやかな撤退を

2022年6月1日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会 

  札幌地方裁判所は、昨日(5月31日)、北海道電力株式会社(以下「北電」)に対し、泊原発1号機から3号機の原子炉を運転しないよう命じる判決を言い渡しました。

  この判決では、提訴から10年、原子炉の変更許可申請から8年半を経てもなお、特に津波に関する安全性について北電が主張立証を終える時期の見通しすら立っていないことを受け、現在設置されている防潮堤について地盤の液状化等のおそれがないことの説明もなさず、津波に対する安全性を欠いていると指弾しました。

  泊原発については、2018年の北海道地震の際、わずか震度2で外部電源が破損することが問題となりました。たまたま運転していなかったこともあって重大事故は免れましたが、もし運転中にこのような事態になっていれば、北海道の広範な地域が放射性物質に汚染された可能性があります。

  福島第一原発事故後、原発の安全確保に問題があるとして民事訴訟あるいは仮処分において運転差止めを認めた事例はこれまで6例あり、行政訴訟として大飯原発の設置許可処分の取り消しを命じた判決もあります。今や毎年のように原発の差し止め・設置許可に関する訴訟で住民勝訴が言い渡されるようになっており、脱原発に向かう歴史の流れは変えようがないものとなっています。しかし今回の判決を受けてもなお、日本政府は「再稼働を進める政府方針に変わりはない」としていますが、これ以上、脱原発に向けた世論や司法判断の流れを無視することは許されません。規制委員会も、今回の決定を受け、津波はもちろん、地震・火山・避難対策等に関する基準を徹底的に強化すべきです。

  また、電力会社と政府が原発の維持・再稼働を進める中で、司法の独立性と公正な判断がますます重要になっています。

  東京電力福島第一原発事故から11年を迎える今、事故は収束せず、未だに多くの被災者が深刻な暮らしを余儀なくされている中、国は原発からの一刻も早い撤退を決断すべきです。繰り返し訴えるように、原発は分散型エネルギー社会とは相いれず、持続可能性はありません。その推進は再生可能エネルギーの拡大を阻み、深刻化する気候危機への対処という観点でも未来はありません。

  私たちはあらためて、原発の稼働を前提としたエネルギー政策の転換を強く求め、原発立地地域や関連産業の原発への依存構造を転換する支援・施策の推進、社会そのものを豊かな自然のリズムに沿った持続可能なものへと創り変えることの重要性を訴えます。

  

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