【声明】辺野古基地建設埋め立て設計変更-沖縄知事の不承認を支持し・・・

【声明】辺野古基地建設埋め立て設計変更-沖縄知事の不承認を支持し、

工事の即時中止を求めます

                             2021年12月16日
                        緑の党グリーンズジャパン運営委員会

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、11月25日、沖縄県の玉城デニー知事は、埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤対策に伴い、防衛省が申請した設計変更を不承認としました。

この軟弱地盤は、防衛省が埋め立て海域の地盤の強度を調べた2014・2015年の報告書で明らかになったものです(※1)。
これを受け、沖縄県は2018年8月にも埋め立て承認を撤回したものの、国土交通相は行政不服審査法を悪用し、「私人」になりすまして政府にその効力を停止させる対抗措置を取り(※2)、ちょうど3年前の12月、海域に初めて土砂が投入されました。

しかし軟弱地盤の存在を否定することはできず、防衛省はその改良工事のため2020年に公有水面埋立法に基づき設計変更を申請しました。沖縄県は、この変更申請書が「埋め立て予定海域の軟弱地盤が最も深い水面下の約90メートルに達する地点について、直接試験したデータを採用していない」「工事がジュゴンに及ぼす影響などについても環境保全措置の検討が不十分」等指摘し、これを不承認の理由としています。

土木工学の専門家からは「護岸の崩壊もあり得る」との指摘もあり、辺野古基地の構想は文字通り足元から崩れ落ちています。沖縄県知事による不承認は当然の措置であり、私たちはこの判断を全面的に支持します。
沖縄県の措置に対し、防衛省と国はまたしても行政不服審査制度を悪用して対抗しようとしていますが、これまで指摘したように、行政から市民を救済するための同法の立法趣旨に反するもので、許されないものです。
仮に防衛省の計画変更に基づいたとしても、当初5年とされた工期は9年3カ月に及び、工費は3倍近い9300億円に膨らみます(※3)。辺野古に固執すればするほど、普天間基地の固定化が進むという根本的な矛盾が、ますます拡大しています。普天間基地の撤去は、無条件かつ即座に実現させなければなりません。

2018年沖縄県知事選挙や第二次安倍政権発足以来の一連の国政選挙をはじめ、沖縄県民の「辺野古基地建設反対」の意思は明確に示されてきています。工事の強行は、科学を否定し、説明責任を放棄し、地方自治と民主主義を踏みにじるものに他なりません。

集団的自衛権行使容認に続き、自衛隊海外派遣の恒久化を進めた安倍政権以来、日本と東アジアの平和や人々のいのちと暮らしを脅かし、戦争に参加する道へと積極的に進もうとする姿勢は、岸田政権になっても変わっていません。その中で沖縄は、これまでにも増して不当な差別と抑圧を、最も激しい形で受け続け、「台湾有事」をめぐる緊張が高まる中、実際のリスクも押しつけられています。

緑の党グリーンズジャパンは、平和と環境保全、基本的人権や社会的公正の観点から、辺野古基地建設に向けた工事や手続きの一切に反対し、日本政府に対して辺野古への基地移転工事の即時中止を求めます。そして、米軍基地を押し付けられてきた沖縄の人々や、平和を求める内外の市民とともに、基地のない沖縄、平和に共存するアジアと世界の未来の実現のため、行動していきます。

※註
1) 軟弱地盤の事実は、当初防衛省によって非公表とされ、2018年、情報公開請求により明らかになった。
2) 2018年11月7日付緑の党グリーンズジャパン運営委員会声明「沖縄辺野古の埋め立て工事再開に強く抗議します- 政府は工事を中止して沖縄県との対話と熟議を進めるべき」https://greens.gr.jp/pressrelease/24266/
3)現在までかかった費用と工事の進捗状況等から沖縄県が試算した結果によれば、費用は当初計画の約10倍の2・5兆円、完成までの期間も13年かかるとしている。

 

PDFファイルは⇒ https://greens.gr.jp/uploads/2021/12/be9e45fea6fe7b880cc361519b225b27.pdf