【声明】福島第一原発汚染水放出決定に強く抗議します

【声明】福島第一原発汚染水放出決定に強く抗議します

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2021年4月17日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

4月13日、政府は関係閣僚会議において、東京電力福島第一原発の汚染水の海洋放出を決定しました。私たちはこれに強く反対し、抗議します。

福島原発事故から10年間、福島県民は、放射能汚染、地域や家族の離散・分断、避難先での差別や自死など、多くの被害と困難な生活を強いられてきました。県産農産物・海産物への打撃も深刻です。汚染水の海洋放出についても、漁業関係者だけでなく、福島県内の多くの自治体議会が海洋放出に慎重・反対の意見書を政府に提出し(※1)、今回の決定に先立つ4月7日にも、全漁連と福島県漁連会長が、菅首相と面談してあらためて強い反対を表明しています。

これまで政府・東電は「関係者の理解を得ない限りいかなる処分もしない」と約束してきました。それにもかかわらず、こうした多くの反対の声を押し切っての決定は許されません。

そもそも汚染水を「処理水」「トリチウム水」と呼び、「1,500ベクレル/L以下は基準の40分の1」「一般の原発の通常運転でも排出している」とする政府や報道の説明は不正確であるばかりか、意図的な歪曲です。福島原発敷地からの汚染源は汚染水以外の核種があるため、「1,500ベクレル/L以下」は、何ら積極的なものではなく、果たさなければならない最低基準です(※2)。また、むき出しの燃料デブリに直接触れた汚染水は、たとえ処理されたとしても、通常運転の排水とは異なるものであり、東電自身が公表した資料でも、2次処理してもトリチウム以外に通常の原発排水には含まれない多くの核種が含まれていることがわかっています。タンク内で長期保存されたトリチウムが有機質と結合した場合、その後の自然界での挙動は一般の水のトリチウム単体とは異なるリスクがある懸念も指摘されています。

こうした問題を「風評被害」と断じ、そのリスクや不安を語ることを「風評被害を煽る」などとする主張は、実被害の実態を矮小化し、被害者を侮辱するものです。

汚染水については、陸上保管、水冷から空冷への切り替えなど、原子力市民委員会などから実現可能性のある提案も公表されています(※3)。東電はタンク用の土地の不足を問題にしていますが、廃炉作業に伴う放射性廃棄物の保管場所を第1原発敷地内に用意しています。デブリ取り出しなど被ばくを伴う工程を半減期も待たずに急ぐよりも、「緊急」性のある汚染水保管のためにその土地を充てることも検討されるべきです。さらに、福島第2原発の敷地も含め、使用可能な土地の確保も充分可能であり、東電と国は責任を持って対応すべきです。

また、あらためて言うまでもなく、汚染水放出の実施主体は東電です。今回の決定の翌日、原子力規制委員会は東電柏崎刈羽原発について事実上の運転禁止処分を決定しましたが、その理由は「核物質防護」の不備(評価は規制委の分類上最悪)です。核物質を扱う技術的・組織的管理能力が欠如し、この間も度重なる不祥事を重ねてきた事業者が、この後数十年も適切に放出を管理できるはずがありません。

実際の放出開始は約2年後とされています。私たち緑の党グリーンズジャパンは、福島県内外の多くの皆さんとともに、政府に対し、汚染水の海洋放出を絶対に行なわないようあらためて求めるとともに、この判断の撤回に向けて力を尽くします。

 


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