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【声明】「敵基地攻撃能力」保有を止めるために行動を! 必要なのは”ピースリカバリー”

2020/11/02

【声明】「敵基地攻撃能力」保有を止めるために行動を!

必要なのは「人間の安全保障」を優先する"ピースリカバリー"

2020年11月2日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会


  持病を理由に辞任を表明した安倍前首相による「敵基地攻撃能力」保有を促す談話を忠実に受け継ぐ形で(※1)、菅政権でその方針策定に向けた動きを進めています。あらためてこの問題について見解を表明します。

■日米一体型作戦のもとで日本の担う役割
  「衛星により標的を特定し、敵レーダーを無力化して航空優勢を確保した上で、戦闘機による爆撃を行う」という「ストライク・パッケージ」と呼ばれる完結型の能力の保持は、断念される見込みです。世界最強の米軍が圧倒的な制空権を確保して行なったイラク戦争においてさえ、イラク軍の移動式ミサイル発射機の約55%しか破壊できませんでした。まして自衛隊がそれを行なうのは、コストと能力の面で非現実的だということを、政権の側も理解しているのです。
  しかし、これは政府・自民党がめざす「敵基地攻撃能力」の後退を意味するわけではありません。日本だけで担う「完結型」ではなく、日米一体型の作戦態勢のもとで、自衛隊が固定目標への攻撃を受け持ち、米軍が移動目標への攻撃に集中するという役割分担がめざされようとしています。これは、自衛隊による「米軍の一部化」です。
  また、「敵基地攻撃能力」が保有されれば、中期防衛力整備計画の下ですでに導入や開発が決まっている長距離巡航ミサイルや開発中の「高速滑空弾」、「極超音速ミサイル」など(※2)が、「敵基地攻撃」に「転用」されると見られています。「専守防衛」を建前として導入されるこれらの兵器が、なし崩し的に-あるいはむしろ本来の目的通り、侵略的な「攻撃」に利用されようとしています。海上発射型の米巡航ミサイル「トマホーク」の購入や、米国が開発中の地上配備型中距離ミサイルの日本配備も大きな焦点となると思われます。こうした攻撃能力の向上は、東アジア地域の緊張を高めることにつながります。
  さらに見逃せないのは、「敵基地攻撃」が集団的自衛権の行使に結びつく危険性です。米中の軍事対立がエスカレートした場合などに、「安保法制」と連動する形で、自国が攻撃されていなくとも、米軍防護と称して自衛隊が相手国の脅威圏外から攻撃に踏み切るという事態すら想定されます。

■「専守防衛」と在日米軍との矛盾を克服するとき
  日本は戦後、憲法9条の理念に基づき、軍事能力を制限する「専守防衛」政策を採用してきました。それは、相手に脅威を与えないことで自国の安全を確保しようとするものでした。一方で日本は、「矛と盾」の役割分担の名で、在日米軍というグローバルな敵基地攻撃能力を自国内に間接的に抱え込んできました(※3)。
  日本は、その矛盾を今こそ克服するべきです。東アジアのミサイル軍拡競争に歯止めをかけるために、在日米軍が保有するミサイルの削減を含む、軍縮・軍備管理交渉のテーブルづくりにこそ尽力すべきなのです。
  憲法違反の「敵基地攻撃能力」の保有を止めるために、年末までのあと2カ月が大きな正念場です。新たな立憲民主党をはじめとする立憲野党は、「敵基地攻撃能力」保有反対の立場を鮮明にすべきです。「敵基地攻撃」の拠点とされつつある南西諸島の軍事化にも反対し、既定方針となっている長距離巡航ミサイル導入の撤回も要求すべきです。

■「ピースリカバリー」を掲げて行動を
  未曾有のコロナ禍は、安全保障観の転換こそを迫っています。気候危機への対処など環境を重視する「グリーンリカバリー」に加えて、武器から「人間の安全保障(※4)」に資源を振り向ける「ピースリカバリー」も必須です。
  事態を決めるのは市民の行動です。「敵基地攻撃より軍縮協議を」の声を響かせながら、年末までの2カ月、国会で、街頭で、地域で、オンラインで、創意工夫をこらした取り組みを集中的に展開しましょう(※5)。


※註

  1. 憲法71条では、内閣辞職後の「職務執行内閣」は行政の継続に必要な事務処理に限定されると解釈されており、安倍前首相の談話はこの点でも本来無効なもの
  2. 時事通信9月7日記事「長射程ミサイル、22年取得 離島防衛、「敵基地攻撃」転用も―F35搭載・防衛省」参照 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090600201&g=pol なお、「極超音速ミサイル」はJAXAが開発に協力していることにも注意
  3. 在日米軍は「極東」の範囲を大きく超えて中東やインド方面まで活動。イラク戦争では横須賀基地を母港とする米イージス艦がトマホークによる先制攻撃を行ない、三沢や嘉手納基地から空軍機が出撃、横田基地がその統合指令拠点として機能している。沖縄駐留の海兵隊も「殴り込み部隊」として海外紛争に投入されている。
  4. すべての個人、特に脆弱な人々が、すべての権利を享受し、人間としての潜在力を十分に発展させるために、平等な機会を持ち、恐怖からの自由と欠乏からの自由を得る権利を有していること。参照:国連広報センター https://www.unic.or.jp/activities/human_security/
  5. ネット署名「米軍と一体化した先制攻撃に道を開く『敵基地攻撃能力』保有に反対します」 が始まっている。11月25日まで。http://chng.it/wF8ZB58mVg

 

PDFファイルは⇒http://greens.gr.jp/uploads/2020/11/seimei20201102.pdf

 

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