【談話】戦後75年を迎えて

 

【談話】戦後75年を迎えて

2020年8月15日

緑の党グリーンズジャパン共同代表
中山 均  尾形慶子
松本なみほ 橋本久雄

  本日は75年目の終戦記念日です。アジア太平洋の広範な地域への侵略と戦闘、日本本土への空襲、沖縄での島民を巻き込んで戦われた凄惨な地上戦、広島・長崎への原爆投下など、犠牲となった国内外の夥しい数の犠牲者・被爆者に哀悼の意を表し、傷ついた人々やそのご家族に対し、あらためて心よりお見舞い申し上げます。私たちは、平和と非核の誓いを新たにするとともに、国内外の戦争被害者、原爆被爆者が高齢化する中、その一刻も早い救済を政府に求めます。

  この数年間、国連での核兵器禁止条約の採択や南北朝鮮・米朝会談など前向きな動きがあったにもかかわらず、昨年から今年にかけて、東アジアと世界では再び戦争への脅威が高まり、被爆者や戦争被害者の想いを踏みにじるような事態も進んでいます。米国トランプ大統領は新たな潜水艦発射型核弾頭・中距離核ミサイルなどの開発を目指すことを公言し、核廃絶の先頭に立つべき日本も、国内外の声に背を向け、核兵器禁止条約への参加を拒んでいます。
  また、日本政府は、破滅的な戦争拡大と加害の歴史への責任、そしてその被害の実態に向き合おうとしていません。「黒い雨」訴訟で原告84人全員を被爆者と認定した広島地裁判決を否定して控訴し、原爆被害者は強い怒りの声を上げています。韓国の日本企業の責任が問われた徴用工問題では、韓国の三権分立を否定し、被害者をどのように救済するかという本質議論を放置したまま、韓国政府への強硬な対決姿勢を露わにしています。
  さらに安倍政権は、侵略戦争の反省とあまたの戦禍の経験の中から生まれた憲法と民主主義の重要性を軽視・否定し、改竄と隠蔽にまみれた国政運営を続けています。そして新型コロナ感染症拡大への適切な対策を怠りながら、その混乱に乗じて「緊急事態」条項を盛り込む憲法「改正」の必要性を叫び、沖縄県辺野古の新基地建設も強権的に進めています。
  日本の政治の変革と真の民主主義社会の確立こそが、アジアと世界の平和・非核の実現のために必要です。そのために、私たちも政党としてその一翼を担わなければなりません。

  そして今、平和と民主主義の危機に加え、世界は深刻な気候変動の進行と新型感染症の拡大という二つの危機も目の前にしています。これらの危機は地球全体を覆い、各国が自国の利害を守るために競って拡大してきた軍備や核兵器は、この巨大な危機の前には無力です。テロや紛争の背景にある格差や貧困に向き合い、人類自らがもたらした気候変動に対し、世界が共同して立ち向かわなければなりません。そのために残された時間はわずかであり、利益優先の経済拡大や核開発・軍備拡大を進める余裕はないのです。

  私たちは、被爆者やその支援者のみなさん、沖縄の人々などをはじめ、世界中の市民が困難な中でも声を上げ続け、平和のために歴史を大きく動かしてきたことに希望を見い出し、その力を確信します。このわずか1~2年の間に、世界各国の若者たちや市民の行動が国際社会を動かし、気候危機に向き合う機運を高めてきたことも、そのひとつです。

  私たちは、「地球ひとつぶ」の豊かな自然環境と世界中の人々との平和なつながりの中で、分かち合い、支え合う公正で持続可能な社会の実現をめざし、政治を変革し、これからも行動を続けます。
  最後に、今も香港で進む人権弾圧を憂慮し、自由を求める香港市民に深い連帯の意を表明するととともに、彼らの行動に励まされながら、私たち自身の決意をあらたにします。

 
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