【声明】選挙供託金違憲訴訟-東京高裁の不当判決を受けて

 

【声明】 選挙供託金違憲訴訟-東京高裁の不当判決を受けて

 

2019 年 12 月 15 日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 高すぎる選挙供託金を定めた公職選挙法の現行規定は参政権を侵害するもので憲法 15 条、44 条などに反しており、それによって参政権を侵害されたことへの損害賠償を求めた裁判において、 去る 12 月 11 日、東京高等裁判所は、5 月 24 日の東京地裁判決に引き続き、原告の請求を不当 にも棄却してしまいました。

 今回の東京高裁判決は、選挙供託金制度は違憲だとする原告の主張を退けた 20 年も前の 1999 年最高裁判決(ただし、この判決においても合憲である積極的理由は示されていない)を半ペー ジほど割いて言及しただけで、何の手も加えられていません。緑の党の元運営委員でこの訴訟の 原告側弁護団に加わっている笠原一浩弁護士によれば、日本の控訴審判決では、一審の判決を変 更したものはもともと少ない(24%程度)が、そうでない場合においても新たな事実認定や論理 構成の修正を加えるなど、控訴審としての独自の見解を示しているものがほとんどです。高裁と しての見解を示さない今回の判決はきわめて異例であり、不誠実で、日本の民主主義を支える三 権分立の一角を担う司法の責務を放棄したものと言わざるを得ません。

 一審判決を受けた声明(※1)で明らかにしたように、日本以外のどの国も、このような高額 な選挙供託金を定めていません。OECD 加盟国 35 カ国中 23 カ国には選挙供託金制度がなく、残 り 12 カ国も日本よりはるかに低額です。韓国やカナダ、アイルランドでは、選挙供託金制度が 市民の政治参加を妨げ、それぞれの国の憲法に反するとの司法判断が下されています。これは真 の平等の確立と市民主権の観点で日本にもそのままあてはまるものであり、政府と国会は、海外 でのこれらの判断を真摯に受け止めるべきです。
 私たち緑の党は、政府と国会に対し、公職選挙法の規定を一刻も早く改正して選挙供託金を廃 止するか、少なくとも大幅に引き下げるようあらためて求めます。そしてそのために、立憲各野 党に対しても真摯な議論を求めるものです。

 今回の判決に対し、すでに原告・弁護団は最高裁へ上告の意向を示しています。私たちも、当 事者のひとりとしてこの裁判を支援し、選挙供託金の速やかかつ大幅な引き下げ・廃止をはじめ、 市民の声を国会から締め出す不公正な小選挙区制度から民意を正確に反映する比例代表制への転 換など、参加民主主義の実現に全力を挙げていきます。

 

※註 1:2019 年 5 月 25 日・緑の党グリーンズジャパン運営委員会声明「選挙供託金違憲訴訟・東京地裁決定を受け て―国は供託金制度の問題点を真摯に受け止め、参加民主主義の実現を!―」
https://greens.gr.jp/seimei/25703/

 

 PDF➡https://greens.gr.jp/uploads/2019/12/seimei20191215.pdf