【声明】 選挙供託金違憲訴訟・東京地裁決定を受けて
【声明】 選挙供託金違憲訴訟・東京地裁決定を受けて
― 国は供託金制度の問題点を真摯に受け止め、参加民主主義の実現を! ―
2019年5月25日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
昨日5月24日、東京地方裁判所は、高すぎる選挙供託金を定めた公職選挙法の現行規定は参政権を侵害するもので憲法15条、44条などに反しており、それによって参政権を侵害されたことへの損害賠償を求めた裁判(以下「選挙供託金違憲訴訟」)において、原告の請求を棄却してしまいました。
「公選法が供託金の額を300万円と定めていることに照らすと、現行の選挙供託金制度は選挙に立候補しようとする者に無視できない萎縮的効果をもたらす」ことは判決中でも指摘されています。かつ、なぜそのような高額な選挙供託金を定めなければならないのか、国からも合理的な説明はなく、「いわゆるミニ政党が出現し、真に当選を争う意思がないと評価せざるを得ない立候補が多数なされていたことを踏まえ、泡沫候補者の濫立を防止するため」と、特定の政党や候補者に主観的な評価を加える、およそ司法府の判断根拠とできないような恣意的、政治的主張があったのみでした。ところが驚くべきことに、裁判所は国のこの主張をそのまま採用して、「合理性がないとはいえない」という、現状を追認する不当な判断をしてしまいました 。
私たち緑の党グリーンズジャパンは、基本理念に「参加民主主義」を掲げ、「被選挙権を制限している世界一高い供託金は廃止する」ことを基本政策としています。私たちが2013年参院選に挑戦した際も、企業や組合に基盤を持たない市民政党にとって、高額な供託金はきわめて高いハードルとなりました。市民から広く得られたカンパや借入金などによってこれを乗り越えましたが、これだけの額を選挙活動自体に充てることができれば、私たちの理念や政策をより広く訴えることができました。供託金制度が憲法で保障された市民の政治活動や表現の自由を事実上奪ったと言っても過言ではありません。
今回の選挙供託金違憲訴訟においても、元運営委員である笠原一浩弁護士が弁護団に加わっているのをはじめ、裁判が開かれるたびに会員・サポーターが口頭弁論期日に出席し、裁判所前のキャンペーンに参加するなど、全力で応援してきました。私たちは、東京地裁の今回の判決にもかかわらず、選挙供託金の問題点を訴えるべく、多くの市民が立ち上がったこと自体が、参加民主主義の実現に向けた大きな一歩と受け止めています。
日本以外のどの国も、このような高額な選挙供託金を定めてはいません。OECD加盟国35カ国中23カ国には選挙供託金制度がなく、残り12カ国も日本よりはるかに低額です。選挙供託金制度が市民の政治参加を妨げ、それぞれの国の憲法に反すると判断した韓国やカナダ、アイルランドの判決は、日本についてもそのままあてはまるものです。国はこれら諸外国の判決における指摘こそ尊重し、普通の市民が選挙に参加することを妨げている公職選挙法の規定を一刻も早く改正して選挙供託金を廃止するか、少なくとも大幅に引き下げるべきです。
私たち緑の党グリーンズジャパンは、今回の東京地裁判決にくじけることなく、今後も、選挙供託金の速やかかつ大幅な引き下げ・廃止をはじめ、市民の声を国会から締め出す不公正な小選挙区制度から民意を正確に反映する比例代表制への転換など、参加民主主義の実現に全力を挙げていきます。私たちはこの国の民主主義を諦めません!