【声明】政府はこれ以上の国連無視・被害者無視をやめ、すべての原発事故被害者に…

【声明】政府はこれ以上の国連無視・被害者無視をやめ、
すべての原発事故被害者に真摯に寄り添うべき

 2018年11月19日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

 10月25日、有害物質に関する国連の特別報告者がニューヨークの国連総会に報告書を提示しました。この報告書では、日本政府が被ばく限度を20倍に引き上げたことを憂慮し、とくに子どもの福祉と健康に深刻な影響を与える可能性があるとしています。そして、日本政府に対し、7年前の東京電力福島原発事故以前の環境における安全基準(年間1ミリシーベルト;以下「mSv」)を上回る地域への帰還政策をやめるよう求めています。
 日本政府はこの報告を聞き入れないばかりか、復興を阻害すると批判すらしています。
 日本政府は、被ばく限度の根拠として「緊急時被ばく状況」(年間20~100mSv)のうちの最小値を採用していると主張しています。しかし、非常事態に「緊急」的に対応する必要がある場合の基準を適用することは、そもそも不適切です。また、汚染事故の回復期の防護目安としての「現存被ばく状況」(年間1~20mSv)を適用したとしても「20mSv」はその最大値となります。人が普通に生活する環境において採用されるべきは、「計画被ばく状況」の「年間1mSv以下」です。
 また、日本が批准している子どもの権利条約では「到達可能な最高水準の健康を享受すること」についての権利を守ることと規定されています。政府の採用する被ばく基準や、それ以下の地域における避難の解除は、子どもの最善の利益を考慮すべきという原則にも合致しません。

  日本政府による国連勧告の無視は、今回にはじまったことではありません。2017年11月に開かれた国連人権理事会の普遍的・定期的審査で日本政府に対し、区域外避難者を含む被害者への継続的な支援と健康モニタリング、許容放射線量を年間1ミリシーベルトに戻すこと、帰還に関する意思決定プロセスへの住民参画のための「国内避難民に関する指導原則」の適用、医療サービスへのアクセスの保証が勧告されましたが、政府は形式的に同意しつつも「すでに必要な支援は提供している」と回答し、実質的に勧告受入れを拒否しました。遡ると、2013年に国連の特別報告者であるアナンド・グローバー氏が被害者の権利のため勧告した時も、日本政府はあたかもこの勧告がアナンド氏の個人的見解にすぎないかのように中傷しました。

 2017年には、いわゆる自主避難者への住宅提供が停止されました。政府の避難指示解除と住宅支援の停止の組み合わせは、多くの避難者にとって、帰還を迫る圧力となっています。
 避難した人、避難しなかった人、避難できなかった人、避難するしかなかった人、いずれも等しく、福島原発事故の被害者です。福島原発事故は、国の原発推進政策によって引き起こされた以上、国は、すべての被害者に対し、その生活を保障する責務があります。
 私たち緑の党グリーンズジャパンは、福島県内外のすべての被害者、福島原発事故の被害を憂えるすべての市民と共に、すべての被害者が事故前の生活を回復できるよう、強く政府に求め、また自治体などの現場でも全力を尽くしていきます。

 

註 1) 環境省資料「被ばく状況と防護対策」
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1-01-135.pdf 参照。

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