【声明】オウム真理教関係者への死刑執行を受けて

【声明】オウム真理教関係者への死刑執行を受けて 

 2018年7月9日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

 地下鉄サリン事件などに関与したとされ死刑を言い渡されたオウム真理教関係者7名に対し、去る7月6日、死刑が執行されました。
 オウム真理教が引き起こした無差別テロ事件は、多くの人々の命を奪い、今もその被害者の心身を傷つけています。私たちはまず、犠牲者と被害者、ご家族に心よりお見舞い申し上げ、このようなテロ行為・犯罪を厳しく非難します。

 一方、なぜあのようなグループが発生し、多くの若者たちの心をとらえ、今もなおその後継・派生団体に一定の信者が結集し続けているのか、どうして異様で残酷なテロ行為に及んだのか、当時の行政や警察の対応は十分だったのか、真実は明らかになっていません。今回死刑を執行された中には事実認定を争っている者もおり、それも含めて、この死刑によって真相究明の最大の鍵を政府自ら封殺してしまったことも批判しなければなりません。この時期に、唐突に執行した理由も示されていません。また、これまでとは異なり、死刑執行前から情報を流し、さながら公開処刑のように行なわれたことは、政権が極刑を政治的に利用し弄ぶものと言わざるを得ません。さらに、西日本を中心に大雨による広域の災害が発生し、多くの犠牲者が出ているさなかに執行されたことにも、強い違和感を禁じ得ません。

 今回の死刑執行を受け、EUおよび関係国の駐日代表部は「本件の重大性にかかわらず、いかなる状況下での極刑の使用にも強くまた明白に反対」「死刑は残忍で冷酷であり、犯罪抑止効果がない」「どの司法制度でも避けられない過誤は、極刑の場合は不可逆」「日本政府に対し、死刑を廃止することを視野に入れたモラトリアム(執行停止)の導入を呼びかける」との声明を公表しています(※1)。

 死刑制度を廃止している国は世界で多数であり、近隣のロシア・韓国でもすでに凍結されています。私たち緑の党も、基本政策においても死刑制度の廃止を訴えています。国内では、死刑制度を容認する声が多数を占める一方、「終身刑導入なら死刑廃止」に賛同する意見は4割弱にのぼります。
 私たちは、今回の死刑執行を強く批判しつつ、犠牲者・被害者の想いを受け止めながら、世界の流れとは逆を向く形で死刑制度を維持するべきなのか、本当の「処罰」とは何なのか、被害者支援のあり方はどうすべきなのか、そうした社会的議論に積極的に参画していきます。

※註
1:https://eeas.europa.eu/delegations/japan/48047/node/48047_ja

 

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