【声明】大飯原発3,4号機再稼働に抗議する-住民の意思にも科学的知見にも反する…

【声明】 大飯原発3,4号機再稼働に抗議する
-住民の意思にも科学的知見にも反する再稼働をやめ、
人々に原発のない未来を描く権利を!

 2018年 5月 20日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

  福井地裁は2014年5月14日、関西電力大飯原発(福井県おおい町)3・4号機の運転差し止めを命じる歴史的な判決を言い渡しました。関西電力は直ちに控訴しましたが、これに対する名古屋高等裁判所金沢支部の判断はまだ出ていません。控訴審では、原子力規制委員会委員長代理を務めた島崎邦彦氏も、大飯原発には関西電力の想定を超える地震動が到達し得ると証言しました。それにもかかわらず、関西電力は去る3月14日には大飯原発3号機,5月9日には同4号機の再稼働をはじめました。この再稼働は明らかに、司法判断も科学的知見も軽視するものです。

 福島第一原発事故から7年以上経つにもかかわらず、原発事故と汚染水流出、被災者・避難者の長期に渡る避難や深刻な生活、家族や地域社会の分断など、多くの課題の解決が全く見通しも立たない状況となっています。これを政府が放置する中で、現実とかけ離れたきわめて甘い想定による関電の事故「対策」のまま、実効性のある避難計画も策定されず、しかも原子力規制庁すら、大山火山に由来する火山灰層に関する関電の評価は過小評価であると指摘する中での再稼働は、断じて許すことはできません。

 おおい町をはじめ、福井県嶺南地方(福井県南西部)の住民は、原発事故は不安だが再稼働に反対すれば仕事を失う、という袋小路に追い込まれています。森林資源、美しい海、先祖代々と受け継いだ大地を守り育て、原発のない未来を描く権利を奪われているのです。また、関西圏の市民など、周辺地域に住む多くの市民は、自分や家族の命や住む場所を放射能の危険にさらされる当事者でありながら、原発再稼働に対する意思決定プロセスから排除されています。にもかかわらず、事故時には原発周辺自治体からの避難者を受け入れるという責任を押し付けられています。

 2014年度は原発稼働ゼロにもかかわらず、近年で初めて温室効果ガスが減少に転じたことを、日本政府自身が発表しています。この事実は、これまで原発稼働でCO2を減らせなかったことと、原発ゼロでもCO2を減らせることを示しています。省エネルギーと再生可能エネルギーの普及は、脱原発と温暖化対策の両立が可能となるだけでなく、雇用創出の鍵ともなることが、世界各国で明らかになっています。立地住民が真に求めているのも、あくまでも雇用や地域経済の活性化であって、原発再稼働そのものではありません。

 日本政府は即刻全原発の廃炉を決定し、再稼働のための安全対策にかける予算や資金を、再生可能エネルギー普及による仕事づくり、原発立地自治体での町おこし、人材育成に充てるべきです。

 緑の党は、いのち・環境・未来を大切にする人びとと共に、地域の人々の暮らしを大切にしながら、原発再稼働、地球温暖化をくい止め、持続可能な経済を作るべく、活動と発信を継続していきます。

 

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