【声明】広島高裁が伊方原発運転差し止め仮処分決定 -広島から発信された…

【声明】広島高裁が伊方原発運転差し止め仮処分決定
        -広島から発信された訴えを受け、被爆も被曝もない世界へ!

 

2017年12月15日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 12月13日、広島高等裁判所は、四国電力株式会社に対し、伊方原子力発電所3号機について、運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しました。これまで、福井地方裁判所が2014年5月に大飯原子力発電所3・4号機、そして2015年4月に高浜原発3・4号機のそれぞれの運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しています。また、大津地方裁判所も2016年3月に高浜原発3・4号機の運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しました。これらはいずれも地方裁判所での判決・決定であり、高等裁判所が仮処分の請求を認容したのは今回が初めてとなります。

 今回の決定は、原子力規制委員会の定めた火山ガイドの評価手順に従っても、伊方原発から130キロに位置する阿蘇カルデラについて原子炉の運用期間中に火山の活動性が十分小さいと判断することはできず、過去最大の阿蘇4噴火(約9万年前)の噴火規模(火山噴火指数7)を想定すべきで、阿蘇4噴火時の火砕流が伊方原発敷地に到達した可能性が十分小さいと評価はできないので、原発の立地は不適であると判断したものです。原発が事故を起こした時の深刻で不可逆的な影響・被害から考えれば、日本火山学会をはじめとする多くの専門家の知見を踏まえた今回の決定は極めて当然のものです。

 それにもかかわらず、未だに政府は「規制委員会が認めた原発は動かす」という姿勢を崩していません。2014年以来、毎年、原発の運転を差し止める司法判断が示されています。これ以上、こうした司法判断に耳をふさぎ続けることは、民主主義国家において許されるものとは言えません。

 福井地裁から広島高裁まで、多くの裁判所が人権擁護の観点から原発再稼働に警鐘を鳴らし続けた背景には、東京電力・福島第一原発事故の悲惨な事故を直視した、多くの市民の声があります。また、今回の仮処分と同じ2016年3月11日に提訴された本訴訟の原告には原爆被爆者の方も多くおられ、訴状では「原子爆弾という比類ない破壊兵器は,幾多の尊い生命を一瞬にして奪ったのみならず…生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し,不安の中での生活をもたらした。放射線被曝の悲惨さをその経験を通して知っている被爆者を含む原告らは,放射線被曝を再び繰り返してはならないとの決意のもと,本訴訟を提起した。」と述べられています。被爆者をはじめとする多くの市民の声によってヒロシマの地からもたらされた今回の決定を受け、私たちはあらためて、被害者の方々に寄り添うこと、そして、二度とこのような核の被害を引き起こさないよう、エネルギー政策の根本からの転換や、核の廃絶を強く求めていくこと、そして社会そのものを豊かな自然のリズムに沿った、非暴力的で持続可能なものへとつくり替えるために活動を続けることを誓います。

 

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