【声明】米トランプ大統領はパリ協定離脱方針の撤回を!~再生可能エネルギー革命は…

            

【声明】米トランプ大統領はパリ協定離脱方針の撤回を!

~再生可能エネルギー革命は止まらない~

 2017年6月3日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

 日本時間の6月2日午前4時、米国のトランプ大統領が地球温暖化対策の世界的合意であるパリ協定からの離脱方針を発表しました。温室効果ガス排出量世界 1・2位の中国・米国も含めて合意した歴史的パリ協定から米国が離脱することは人類への生存権侵害にも値する暴挙であり、米国内外から強い批判の声が上がっています(※1)。

 トランプ大統領はこの方針決定を「アメリカを再び偉大にする」ためだと主張していますが、根本的に誤っています。原子力産業はもちろん、石炭産業も再生可能エネルギー産業と比較するとはるかに雇用規模が小さく、石炭産業の保護は米国の雇用改善にはつながりません。また、トランプ大統領はパリ協定によって米国がGDPの3兆円を失うと主張していますが、温暖化によってアメリカの農業が受ける被害は、比べ物にならないほど大きいでしょう。

 ヨーロッパ、中東の国々で、すでに再生可能エネルギーによるエネルギー革命が始まり、新たな産業や雇用も生み出しています。ここ数年の間に世界中で太陽光発電や風力発電などの再エネ導入が進み、太陽光発電のコストも大幅に低下しています。中国でも、石炭などによる大気汚染によって生じる甚大な健康被害に直面する中、積極的な再エネ導入が進んでいます。

 必要なのは、斜陽産業に固執することではなく、産業転換によって影響を受ける人々を支援し、「公正な移行」(※2)を実現することです。米国の自動車産業が環境規制導入を拒否したために、日本の自動車産業に技術革新で後れを取り、長く低迷したことは広く知られています。

 トランプ政権が地球温暖化を含む環境問題などを「社会主義運動」と見なし、攻撃しようとしていることも大きな問題です。環境保護運動に批判的で環境規制の導入などに反対してきたスコット・プルイット氏が環境保護庁の長官に就任するという人事に見られるように、世界一の大国が、国際的な科学的認識を否定し、世界の市民や自治体・国々による環境保護運動や気候変動対策を敵視していることは、世界の未来にとって深刻な脅威です。

 一方、米国内でも、自治体による独自の気候変動対策の対策を進めようとする動きも出ています(※3)。米国民の利益にも反するトランプ政権の決定は、撤回されなければなりません。

 緑の党にとって地球温暖化は最も重要なテーマのひとつであり、緑の党が政権に参加する国々では2030年~40年に目標を定め、CO2排出量を最大80%削減する、と宣言しています。私たちは、米国緑の党とともに、米政府に対し今回の決定を撤回し協定に留まるよう求めるとともに、「同盟国」でもある日本政府が、太平洋島嶼(しょ)国をはじめ世界各国と共に、米国政府に撤回を強く働きかけることを求めます。国内外の市民や自治体、環境NGOと連携し、原発も温暖化もない未来に向けて、私たちはさらに省エネと再エネ100%による気候変動対策を訴え続けていきます。

 

※註
1)米国の同盟国である仏・独・伊は、連名でトランプ氏の求める「再交渉」は不可であるとの声明を発している。

2)「公正な移行」:持続可能な社会への移行を促進するために、影響を受ける個人やコミュニティーに対し、新たな環境保護分野などでの雇用や技術の創出を支援する政策的枠組み・概念。パリ協定の前文においても言及されている(日本政府の仮訳では「公正な移動」)。ILOがパリ協定を歓迎した見解で「公正な移行」を強調した見解を参照。
http://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_436503/lang--ja/index.htm

3)2001年、京都議定書から離脱を表明した米国では、京都議定書が発効された2005年に、全米市長会議が「各都市が気候変動対策の取り組みを行うことで、米国全体で対策に取り組むことと同じ効果が達成される」旨の決議を上げている。

 

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(日付の表記に誤りがあったため訂正いたしました。6月3日23:50)