【声明】原発避難者集団訴訟前橋地裁判決を受けて 二度と悲劇を繰り返さず…

        【声明】原発避難者集団訴訟前橋地裁判決を受けて
               二度と悲劇を繰り返さず、被害者に最大限の償いを

2017年3月24日

                             緑の党グリーンズジャパン 運営委員会

 

 去る3月17日、前橋地方裁判所は、東京電力福島第一原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら137人が国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟判決で、東電が巨大津波を予見しており事故を防げたと判断し、また、安全規制を怠った国の賠償責任も認め、62人について計3855万円の支払いを命じました。

  原発の地震・津波対策をめぐる訴訟において、東電や国の過失が認められたのは初めてであり、同事故が、人の命よりも原発の稼働を優先させる国の政策によってもたらされたことがあらためて明らかになりました。

  地震学者の島崎邦彦氏らは既に2002年、「福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波地震が30年以内に20%程度の確率で発生する」という内容の長期評価を発表しました。しかし、東電も国も、こうした島崎氏らの指摘を無視し続けて来たのです。同判決は、これらの事実を重く見て、安全より経済的合理性を優先させたことなどを「特に非難に値する事実がある」と断じました。

  同事故を経た今日においてもなお、政府や電力会社は、例えば関西電力大飯原発の基準地震動評価を過小評価とした島崎氏らの警告を無視するなど、同事故を反省せず、形ばかりの「安全対策」で原発を再稼働させようとしています。これでは、第二の福島原発事故は避けられません。政府は、2014年5月21日に大飯原発の運転差し止めを命じた福井地裁判決から今回の前橋地裁判決に至る一連の司法判断を、今度こそ真摯に受け止め、原発推進の政策を全面的に転換させなければなりません。

  一方、この判決においても、支払いを命じた額は請求額の40分の1、一人当たり60万円強にすぎません。このような金額で、原告の方々が受けた被害を償いきれないことは明らかです。

  東京電力と国は、速やかに被害を受けた方々に十分な補償をすべきであり、特に国は、自主避難者に対する応急仮設住宅と民間借り上げ住宅の無償提供の今年3月末での打ち切りを速やかに撤回するとともに、全ての被災者・避難者に対し、「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく抜本的な支援策や新たな法制度を確立しなければなりません。

  私たち緑の党グリーンズジャパンは、今後も、東京電力福島第一原発事故の被害を受けた方々の救済、そして原発の速やかな廃止と再生可能エネルギーへの転換に全力を挙げていきます。

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