【声明】三権分立を脅かそうとする原子力ムラの横暴を許さない

【声明】三権分立を脅かそうとする原子力ムラの横暴を許さない

2016年7月17日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 大津地方裁判所は、本年3月9日、関西電力株式会社(以下「関西電力」)に対し、高浜原発3・4号機の運転差止めを命じる仮処分決定を発令しました。この決定に対し、関西電力が異議を申し立てましたが、去る7月12日、同地裁はこの異議を退けました(以下「異議審決定」)。

 私たちは3月の同地裁決定を評価し、今回の異議審決定も当然であると考えます。

 ところが、異議審決定を受けた翌日、関西電力前会長の森詳介・関西経済連合会会長は、裁判所の決定を批判した上で、国のエネルギー政策とかかわる原発の運転をめぐる問題は仮処分申請を認めず、知的財産権を専門に扱う知財高裁のような特定の裁判所で扱うべきだと述べ、このような決定が出ないように法律を捻じ曲げろと要求しています。このような無法な主張は、「3.11」の反省を踏まえず原発再稼働に邁進し、強引な手続きで集団的自衛権行使容認と安保法制を成立させた安倍政権の姿勢と強い親和性があり、こうした無法な要求が現実のものとなることも決して杞憂ではありません。

 言うまでもなく、司法権によって立法府や行政府の誤りをチェックすることは、憲法によって政府をコントロールすることを目指した立憲主義の中核をなすものです。

 従来の原発訴訟においては、司法は、しばしば行政府や事業者が依拠する主張を安易に採用し、住民らの訴えを棄却してきました。三権分立は十分徹底されす、その結果、福島第一原発事故が起こり、多くの人々が生命・健康や基本的人権の重大な侵害を被ることになりました。福島原発事故を経験した日本においては、原子力行政の行き過ぎを正すためにも、徹底した三権分立を進める必要があるのです。

 今回の裁判を契機として司法制度を捻じ曲げろという関西電力前会長の主張は、憲法における三権分立の原理を否定するものです。こうした主張に基づく法改正は、司法権の独立を脅かすものであり、国会の「立法」機能を逸脱するものです。

 私たち緑の党グリーンズジャパンは、政府に対して、決してこのような原子力ムラの無法な要求を受け入れないよう強く求めるとともに、一連の地裁決定を真摯に受け止め、従来のエネルギー政策を改め、速やかに原発を廃止することを求めます。

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