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【声明】「大阪都」構想に反対します

2015/05/07

【声明】「大阪都」構想に反対します

                         2015年5月7日 緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 大阪では、橋下徹・大阪市長が掲げる、いわゆる「大阪都」(※1)構想をめぐり、大阪市を解体し大阪府の下に5つの特別区を設置することの是非を問う住民投票(4月28日~5月17日)が行なわれています。緑の党大阪府本部は、大阪維新の会を除くすべての政治勢力や多くの市民・市民団体と連携して、統一自治体選挙前から反対運動を進めています。

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 ←緑の党大阪府本部 「大阪『都』構想反対」チラシ
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 大阪市と区を廃止するという重大な問題でありながら、丁寧な説明や議論を素通りさせ、一気に住民投票で決着をつけようとする橋下市長や大阪維新の会の政治手法は大きな問題です。公開討論会も行なわれず、議会では公聴会や参考人招致など市民を交えた開かれた議論もなされていません。議会における多数の力と公明党などを巻き込んだ強権的な談合政治の手法そのものに、この「大阪都」構想の非民主的な本質が現れていると言えます。

 そもそも、地方分権・地方主権は、市民を中心として、多様な枠組みが複層的にネットワークしながら、「補完性の原則」に基づいて行なわれるべきものです。
 「大阪都」構想が掲げている「二重行政」問題については、各地でも既存の枠組みの中で解消に向けた取り組みがすでに行なわれています。また、改正地方自治法(2014年成立)において規定された「指定都市都道府県調整会議」(2016年4月施行)でもその協議を行なえるようになっています。この自治法の改正は大阪市など政令指定都市側からの問題提起が契機となったものですが、その評価は別にして、「大阪都」構想の掲げる最も重要な部分は現実制度の中にすでに反映されており、住民投票の根拠のひとつは崩れていると言うことができます。 また、「二重行政」は、府と市との間だけではなく、国と都道府県との間でも問題となっています。それ自体は解消されるべきですが、橋下氏の論理でこの「二重行政を解消」するためには、今度は大阪府をはじめ全国の都道府県を解消し強力な中央集権国家を創りあげることが必要になってしまいます。

  「二重行政」だけでなく、大阪府・大阪市をはじめ各地の自治体に無駄な行政事業や非効率的な組織体制、既存の枠組みに依存する既得権益層など、大きな問題があることも否定できません。市民の真のニーズとはかけ離れた場所と論理で政治を進めてきた多くの既存の国政政党に、その重い責任があることも指摘しなければなりません。橋下氏や大阪維新の会は、その点を巧妙に取り上げ、問題を単純化して主張を煽動的に繰り返していると言えます。
 しかし、それらの問題は、「大阪都」構想のような単純な処方箋で解決できるものではありません。「区」や基礎自治体のあり方などについても、災害対策、福祉や子育て支援など、できるだけ身近な地域で展開されるべき住民自治を強化するという視点こそが重要(※2)であり、そのために必要な権限や規模、他の自治体との広域連携の適否、時代の変化や他の政治制度全体との関係など、多面的な検討が必要です。

 地域や自治体の問題を解決するためには、その地域の実情や市民の切実な要望を踏まえ、非効率的であっても民主的な枠組みで丁寧な議論を重ね、市民自身の目で問題を見極め、市民自身の手で問題を解決するしか道はありません。また、そうした具体的な経験や成果を各地域で横向きに丁寧に共有化して行く中でこそ、必要な制度「改革」が進められていくべきです。

 また、橋下氏が求める「強い自治体」は、首長に権限を集中し、東京都と対抗して経済力を高め、都市間競争に勝とうとする発想です。「強い大阪都」の推進は、全国の政令市などでも「強い大都市」に向けた動きを進めることになるでしょう。しかしこれは現在の「地方創生」の危うい側面である「ミニ東京づくり」-各地方における都市拠点への一極集中と過疎地の放棄-をより一層加速することにつながります。こうした流れは、大都市において顕在化している格差拡大や非正規労働の拡大、子育てや高齢者介護問題などを解決することにはつながりません。

 私たちは、地域の実情や市民のニーズに十分向き合おうとしてこなかった既存の政治のあり方を批判しつつ、橋下氏・大阪維新の党の推進する「大阪都」構想は「二重行政」をはじめ自治体や都市制度の問題を解決しないばかりか、市民主権・地域主権を軸にした草の根民主主義に反するものであり、格差貧困の拡大や福祉政策の衰退を一層進める結果をもたらすと考えます。私たちは、「大阪都」構想に強く反対し、大阪府本部を中心に、他のグループとも連携しながら運動を展開していきます。

※註

(1):現行法制度では東京都以外の道府県を「都」とすることはできず、橋下氏・大阪維新の会が用いている「大阪都」という用語は、法的には問題がある。
(2):大阪市の廃止と特別区の設置は東京都特別区の設置の経緯を一つのモデルとしているとされているが、東京都世田谷区長の保坂展人氏は、特別区長として地域主権や住民自治の観点から、今回の「大阪都」構想について論じている(http://t.co/ikkDAsRdMh)。

 

 

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