【見解】諫早湾干拓問題: 速やかに必要な対策で有明海・諌早湾を再生させよう

【見解】 諫早湾干拓問題:
速やかに必要な対策で有明海・諌早湾を再生させよう
-佐賀地裁決定を受けて-

2014年5月3日
 緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 4月11日、佐賀地裁は、2010年に福岡高裁が言い渡した諫早湾の開門を命じる確定判決を履行しない国に対して、二ヶ月後に開門することと、それを守らない場合は制裁金を支払うことを命じました。国は、開門に反対する人々が協力しないことや、昨年の11月12日に長崎地裁が言い渡した諫早湾の開門を差し止める仮処分決定の存在を理由に却下を求めましたが、佐賀地裁はそのような国の言い訳を許さず、国が確定判決を履行しないという前代未聞の事態に厳しく対処しました。 前述の長崎地裁決定自体、既に確定した福岡高裁開門確定判決と矛盾するものです。紛争の円満妥当な解決を目指す司法の場において、相互に矛盾する義務を課して現状を更に混乱させる決定が出たことは、法治国家としてあってはならないことです。しかし、この決定をもたらした最大の原因も、国が漁業被害と開門確定判決を軽視し、開門確定判決に真摯に従わなかったことにあります。

 長崎地裁の決定が新旧干拓地農業者との関係で開門差し止めを認めた根拠は、農業用水を確保するための事前準備に不備があるからというものです。国が準備を進めていた工事の契約予定時期はあまりにも遅く、2010年判決が求めた期限に到底間に合うものではありません。福岡高裁判決が出た段階で必要な対策をとっていれば、今のような事態は避けられたのです。

 私たちは国に対し、今回の佐賀地裁決定を重く受け止め、速やかに開門を行うこと、そして、諌早湾を含めた有明海全体に豊かな生態系を取り戻すため、開門によって生じる問題について直ちに対処することを強く求めます。

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