【声明】 教育への政府見解の強要・介入に反対します-竹島・「尖閣」の教科書記載…

【声明】教育への政府見解の強要・介入に反対します
-竹島・「尖閣」の教科書記載をめぐって-

2014年4月18日 
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 去る4月4日、2015年度から小学生が使う教科書の検定結果が公表され、小学5年もしくは6年生が使用する全ての教科書が竹島・尖閣諸島について記述したことが明らかになりました。これらの中には、竹島を「韓国が『不法に』占拠」と記述するものや、政府見解に沿った検定意見で記述を変更したものなどもありました。
 今年1月、政府は中学校・高校の教科書の検定基準を改訂し、近現代史を扱う際に政府見解を尊重するよう求めています(2016年度から適用)。この改訂の対象ではない小学校の教科書において、安倍政権の見解に沿うかのような記述が盛り込まれ、あるいは政権の意向に沿った検定意見で記述が変更されたことは、政権の思惑や意思が教育現場に深刻な形で広く及んでいることを意味します。
 そもそも、現行の検定制度自体、教育内容への過剰な政府の介入を招くものとなっています。去る3月19日の共同代表談話「教育行政の地域への権限移譲・分権化を求めます」(※1)でも述べたように、本来、教科書の選択においても各地域の自主性に委ねられるべきものです。
 また、かつて教科書検定の合憲性が問われた裁判でも、「教科書検定制度は、それ自体違憲とはいえないが、執筆者の思想の内容の審査にわたる等、検定基準の運用を誤るときは表現の自由を侵すおそれが多分にある」(東京地裁昭和45年7月17日判決)とされ、注意が喚起されています。仮に検定制度自体を継続するにしても、検討制度を利用して、児童や生徒を時の日本政府の見解に意図的に誘導することはあってはならないことなのです。
 さらに、検定基準自体も、近現代史において複数の学説がある場合は一方の見解に立たないよう求めています。戦争の侵略性については「一方の見解に立たない」よう求めながら、領土問題で「政府見解の尊重」を求めるのは明らかな自己矛盾であり、児童生徒の学習に悪影響をもたらします。
 「領土問題」を教えることが必要だとしても、紛争の解決は、その当事者の主張やその背景を正確に認識することから始まります。「韓国が竹島を『不法に』占拠」と述べるだけでは、韓国への敵対心を煽り立てることにしかなりません。
 私たち緑の党は、検定制度の廃止も視野に入れて、教科書の自由な発行・選択に向けた議論を開始するとともに、政府見解を教科書に盛り込むことは厳に控えるよう、強く求めます。

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