【抗議声明】 安倍政権は「武器輸出促進原則」を撤回せよ

【抗議声明】 安倍政権は「武器輸出促進原則」を撤回せよ

 2014年4月4日
緑の党グリーンズジャパン 運営委員会

 安倍政権は4月1日、「武器輸出禁止三原則」を撤廃し、新たな「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。半世紀近くにわたり、国是として曲りなりにも維持されてきた武器禁輸原則を葬り去り、「原則禁止」から「原則可能」へと舵を切る大転換である。

 武器輸出三原則が憲法9条の平和理念を具現化したものであることは、政府自身が繰り返し国会答弁を行い、81年の衆参両院の国会決議でも確認された。世界に向けて、「死の商人にならない」とのメッセージを発してきた「国のかたち」とも言うべきものである。撤廃反対の声は、世論調査でも3分の2に達していた。それを、閉ざされた与党協議と閣議決定のみで強引に覆すことは到底認められない。「平和の党」を掲げる公明党の責任も重大である。

 公表された新原則と運用指針は、武器輸出にまさしくフリーハンドを与える危険なものとなっている。まず、基本理念が「国際紛争の助長回避」から「国連憲章の順守」へとすり替えられ、大後退した。そして、従来の原則の柱であった「国際紛争の当事国またはそのおそれのある国」への輸出禁止は、「おそれのある国」が削除されたばかりか、「紛争当事国」も「武力攻撃が発生し、国連安保理がとっている措置の対象国」へと極めて狭く限定された。現時点で該当国は存在しない。イスラエルやシリアへの輸出さえ排除されない、まったく意味をなさない規定である。

 さらに、「平和貢献・国際協力の積極的な推進」や「日本の安全保障に資する」との基準は、極めて恣意的であり、政府に幅広い裁量を与えるものである。また、「重要案件」のみ、国家安全保障会議を経て公開されるだけで、多くは概要が事後報告されるに過ぎない。目的外使用や第三国移転についても、国際共同開発等には例外を認めるなど、大きな穴がいたるところに開いている。

 既に、F35戦闘機の国際共同開発が進行し、インドや東南アジア諸国への警戒監視等の武器輸出も検討され、仏豪との武器輸出協定作りも動き出している。また、民生品の軍事利用や大学における軍事研究などが進むことも予想される。今回の武器輸出解禁は、集団的自衛権の行使解禁や政府開発援助(ODA)の軍事利用解禁の動きとも密接につながっている。

 一人ひとりが心の中に揺るぎない「武器禁輸原則」を持つことによって、諦めることなく、武器輸出を食い止めていくことが出来る。私たちは、正当性のかけらもない閣議決定の撤回を求めると同時に、危険極まりない新原則の運用に歯止めをかけ、輸出を狙う軍需産業に対しても反対の動きを作り出すことを呼びかけたい。

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