【声明】公正な待遇があってこそ多様な働き方が実現できる-労働者派遣法改正案の…

【声明】公正な待遇があってこそ多様な働き方が実現できる
-労働者派遣法改正案の撤回を求める

 2014年4月1日 緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 3月11日、労働者派遣法改定が閣議決定され、現在、国会で審議されています。

 今回の改定案では、派遣事業を全て許可制とし、派遣労働者の「均等待遇の確保」「キャリアアップの推進」などが謳われるとともに、派遣元企業に常時雇用されている労働者(常用雇用型派遣)の派遣先企業での継続受け入れを可能とするなど、一見、派遣労働の環境改善を求める声に対応した項目が一部盛り込まれた形になっています。
 しかし全体的に見れば、派遣労働の規制を大幅に緩和する内容となっており、容認しがたいものです。

 そもそも労働者派遣については、「臨時的・一時的業務に限定」「正社員が行なっている業務を派遣労働に置き換えない」ことが原則であり、過去の派遣法改定にあたっても、日本政府はその原則を確認してきました。そのため、派遣労働は26業務に限定され、その受け入れも最大3年に制限されてきました。
 しかし改定案では、業務や期間の限定を全面的に取り払い、3年ごとに一定の手続きさえ取れば、派遣労働者を入れ替えることで継続できるようにしています。また、「常用雇用型派遣」を促す名目で、同じ労働者を継続的に使用することも可能にしました。これらは、元々不安定な状況に置かれている派遣労働をさらに緩和・拡大することとなり、企業の正社員の業務を派遣労働に置き換えることにつながります。改訂案の骨格は、派遣労働についてのこれまでの原則を根本から変えるものです。

 日本の派遣労働者は、同じ仕事をしていても時給が低いなど正社員との間に権利や待遇の面で大きな格差があります。ヨーロッパでは、派遣労働者の雇用条件における均等待遇が目指されているだけでなく、「同一価値労働同一賃金」(単位時間あたりの賃金、社会保障、福利厚生などの制度に格差を設けず、同一業務なら就業時間の長短で給与が決まる)の理念が確立しています。「正社員」「非正社員」の二分法ではなく、個々の労働者が雇用形態により不当な扱いを受けない雇用環境が実現しているのです。日本においては、派遣労働の規制の強化や労働条件・労働環境の改善を通して労働者の権利を守るとともに、雇用制度を根本的に見直すことが求められます。

 必要なのは、雇用形態やジェンダーによる、賃金・社会保障・福利厚生などの格差をなくすことです。これは同時に、「正社員」の働き過ぎによる過労死や心身の疾病を減らすことにもつながります。

 私たち緑の党は、労働者派遣法改正案の撤回を強く求めるとともに、さまざまな立場の労働者や労働組合とも協力し、多様かつ公正な働き方の実現と人にやさしい労働環境の確立に向けた法制度の導入を目指します。
 また、人間らしい働き方や暮らし方をめざし、「より少なく働き、より少なく消費し、より豊かに生きる」社会の実現に向けた議論を呼びかけていきます。

 

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