【談話】 教育行政の地域への権限委譲・分権化を求めます ~ 沖縄県竹富町の教科書…

 【談話】 教育行政の地域への権限委譲・分権化を求めます。
     ~ 沖縄県竹富町の教科書採択をめぐって ~

緑の党グリーンズジャパン共同代表  橋本久雄

 竹富町が採択地区(八重山地区)を構成する他の石垣市、与那国町と異なる教科書を採択したことをめぐり、文部科学省が是正要求をしたことが報じられています。
 通常は事前に教員らが教科書を調査・研究し推薦リストを作り、その中から採択する教科書を選びます。ところが、この八重山地区では推薦リストにない「新しい歴史教科書をつくる会」の元メンバーが執筆に参加した育鵬社版の中学公民教科書を採択しました。しかし、竹富町教育委員会はこの教科書には「平和憲法の記述が少ない」、「沖縄県内の米軍基地問題の扱いも少ない」などの理由で独自に東京書籍版の教科書を選びました。
 主要国では各学校か基礎自治体が教科書を選んでいます。全国一律の検定基準を設けているのは日本だけです。国家が教育に深く介入・統制しています。また、是正要求の法的根拠とされる教科書無償措置法は、国の費用で教科書無償配布することを目的とした法律ですので、自治体自身の費用で教科書を購入した今回のケースで是正要求をすることは、現行法から見ても疑問があります。
 しかも1997年、当時の橋本龍太郎内閣は「将来の学校単位の教科書採択に向け法整備を検討する」という閣議決定を行いました。
 しかし、その閣議決定は、今に至るも何ら具体化されていません。それどころか、政府が進めている教育委員会制度の改革では、首長に教育長の任命・罷免権を与えるなど、教育委員会を首長のコントロール下に置き、首長によるトップダウンを進めようとしています。
 今必要なことは先の閣議決定に基づき教育行政の分権化を進めることであり、また市民から教育委員を選び、住民の意思と社会の良識を教育に反映させる仕組み(レイマンコントロール)を取り戻すことです。
 緑の党は竹富町の選択を支持します。政府文部科学省は直ちに竹富町への是正要求を撤回し、1997年閣議決定を具体的に法制化することを求めます。

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