【プレスリリース】【声明】「韓国最高裁判決を受けて-日韓両国は被害者救済のための前向きな行動へ協力を」を発表

PDFファイル

報道各位
<プレスリリース>                        
                                            2018年11月21日
                              緑の党グリーンズジャパン 運営委員会

日頃より大変お世話になっております。
緑の党グリーンズジャパン(共同代表・橋本久雄、ほか)では本日さきほど、
 
     【声明】韓国最高裁判決を受けて
        -日韓両国は被害者救済のための前向きな行動へ協力を


をHP内にて発表し、政府関係各署に送りました。
事後のお知らせになりましたが、ぜひご確認頂けますようよろしくお願い致します。

*この【声明】は以下でもご覧いただけます(緑の党HP内)
https://greens.gr.jp/seimei/24442/

   ------------------------------------

          

          【声明】韓国最高裁判決を受けて
             -日韓両国は被害者救済のための前向きな行動へ協力を

2018年11月21日
            緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

 韓国の最高裁判所が、いわゆる「徴用工」として強制的に働かされた人々(やその遺族)が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に対して提起した損害賠償につき、原告の訴えを認める判決を言い渡しました。
 この最高裁判決に対し、国内では、安倍首相を筆頭に「日韓請求権協定に違反する」として激しい批判が相次いでいます。
 しかし、韓国も日本も共に、三権分立を基礎とする民主主義国家です。韓国政府(行政府)にこの判決そのものを変えさせようとする行為は、民主主義社会においてはあってはならないことです。日本政府が国内企業の活動の安定を求めること自体、政府の重要な役割であったとしても、この民主主義の大前提を抜きにした議論は批判されなければなりません。

 また、歴史と事実に即した議論も必要です。そもそもこの問題の背景に日本の不当な半島支配の歴史があるという前提が確認されなければなりません。そして日本政府自身、日韓請求権協定の締結当時、「平和条約における国民の財産および請求権放棄の法的意味」や「日韓請求権協定第2条と拿捕漁船問題」の文書という内部文書を作成し、後者には「日韓請求権協定第2条の意味は、国際法上認められた国家固有の権利である外交保護権を行使しないと約束したものであり、個人が相手国に請求権を持たないということではない」と書かれています。1990年代の国会質疑でも、「同協定は両国政府を拘束するもので、私人による請求を妨げるものではない」と表明しており、最近の国会質疑でもこの認識は河野外務大臣答弁でも再確認されています。ところが与党だけでなく、立憲民主党までも含む多くの政党や報道機関が、こうした歴史事実を抜きにして韓国を批判・非難するのは極めて残念だと言わなければなりません。

 さらに、同協定に基づき日本政府が韓国政府に支払った資金が、必ずしも十分、韓国の被害者に行き渡らなかったのは、韓国政府だけでなく、日本にも責任があります。この日本の責任は、戦前の植民地支配に限られるものではありません。当時の韓国の軍事政権は、韓国の市民の人権救済よりも、経済成長を優先させ、日本政府からの資金の多くは、開発事業に投じられてきました。そして、それらの事業においては、日本企業が多くの利潤を得てきました(※1)。したがって、この問題が長期化した背景には、日韓両国の経済成長至上主義という視点も欠かすことができません。

  一方、日韓両国をはじめとする東アジア地域においては、各国市民の英知と理性を結集してこの問題の平和的解決を追求する動きが起こっています。例えば、中国の被害者に対しては、日本の企業が資金を拠出して、被害者への保障にあてるスキームが確立されています。日韓関係でも、日韓両国の弁護士会が、両国政府と関係企業が協力して被害者の救済に携わることを検討すべき、という提案を共同で行っています(※2)。

 日韓両国は、それぞれのナショナリズムを克服し、こうした東アジア諸国の知性と理性に応え、被害者の救済に向け、平和的な問題解決に共同であたるべきです。北朝鮮や同国被害者への賠償や補償が未解決であることもあらためて確認されなければなりません。私たち緑の党グリーンズジャパンも、非暴力・社会的公正を基本理念に掲げる政党として、この問題の平和的解決に向け、日韓両国の市民とともに協力していきます。

※註
1:戦後賠償はその後の日本の政府開発援助(ODA)の原型にもなり、特にいわゆる「ひもつき援助」(資材や役務の調達が供与国側に限られる形態。初期にはこれが多くの部分を占めた)では、その利益を供与国側の企業が得る結果となった。

2:https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/101211.pdf

-----
以上。