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2020年2月9日定期総会にて一部改正
2024年2月11日定期総会にて一部改正

私たちは、石油と原子力に象徴されるエネルギー大量消費型の文明に、踊り、踊らされてきました。かけがえのない太陽と地球の贈り物によってこそ“いのち”が育ち、輝くことを忘れ去り、おカネで計れるものだけを尊ぶような勘違いを続けてきました。私たちは今、地球の再生・循環能力の限界を超える過剰な消費生活を強いられています。世界の人々が日本と同じ消費生活をすれば、地球2.9個が必要です。その結果、豊かな森・川・大地・海は破壊され、自然は悲鳴をあげ、気候変動は深刻な状況となってています。わずか「1%」の人びとが世界の富を独占し、残りを「99%」の人びとが奪い合うという歪んだ経済成長の仕組みによって、至るところで格差が広がりました。勝ち負けを問わず、人びとは不安と閉塞感のなかにいます。

そこに起きた“3.11”。そして“切迫する気候崩壊”。私たちは多くのものを失って、やっと気づきはじめました。経済成長神話こそが破滅への道であり、経済成長を優先する政治・行政・福祉・医療・教育などすべてのシステムが破たんし、環境と気候に深刻な危機をもたらしていることを。プロの政治家・官僚・専門家に重要な決定を預けてしまう「おまかせ民主主義」が、最悪の事態を招いていることを。
いま、私たちは、経済成長優先主義から抜け出し、過剰な生産・消費・廃棄を抑制(縮小)する脱成長型経済への転換のプロセスを通して、“いのち”を重んじ自然と共生する循環型の経済を創りだします。「おまかせ民主主義」にサヨナラし、市民が自ら決定し行動する民主主義、討議し政治に参加する民主主義を実践します。そして、原発も気候危機もない社会、エコロジカルで持続可能な、公正で平等な、多様性のある社会、平和な世界をめざします。

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いのちと放射能は共存できない!“地産・地消”の再生エネルギーで暮らす

原発のない社会を実現します。放射能に汚染された大地や海を次世代に手渡すことはできません。すべての原発を直ちに廃炉にします。
同時に、人類と地球の将来を脅かしている「気候危機」に対処するため、化石燃料に全面的に依存した暮らし方から脱け出します。「日本は資源のない国」ではありません。太陽・風・水・森林などの豊かで多様な自然資源を生かしたエネルギーを開発・普及させ、基本的に地域で“地産・地消”(自給)することをめざします。エネルギー消費量を思い切って減らしながら、温室効果ガス排出ゼロと再生可能な自然エネルギー100%の社会に転換します。
また、気候危機問題は他の社会・経済・安全保障問題などとも密接に関連しており、人類と地球の将来を左右する重大問題であることを強く認識しながらその対策に取り組む必要があります。

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自然の循環と多様性のなかに暮らしを置きなおす

自然を征服と操作の対象としてきた近代の文明的枠組みからの大転換をめざします。
欲望を無限に膨らませ便利さを追い求めて限りある資源を大量に消費する暮らし方から脱け出します。クルマをはじめ温室効果ガスを大量に排出し気候変動を促進するモノの使用と生産を思い切って減らします。
自然征服型の事業は中止します。自然生態系の循環と生物多様性を保全し、これを生かした風景を取り戻す事業を進めます。
生態系と人間の健康に取り返しのつかない害を与える可能性のある科学技術は、「予防原則」に立って封印します。

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競争とサヨナラし、スロー・スモール・シンプルで豊かに生きる

経済と暮らし方をスローダウンし、おカネ(GDP)だけでは計れない豊かさや富を手に入れます。弱肉強食の競争によって効率性だけを追求し利益を最大化する経済から、分かち合いと協力・連帯によって人間らしい生活を営める経済に転換します。
より少なく働き、より少なく消費し、より豊かに生きる社会に向かいます。労働時間を大幅に短縮し、仕事を分かち合って失業を減らすと同時に、自由に使える時間を飛躍的に増やします。働き方も変え、尊厳ある働き方と多様な働き方を実現します。
再生可能エネルギー、農業、介護・医療・教育の分野で仕事と投資を増やします。モノとサービスと資金が地域内で循環し、働く場が創られるローカルな経済が主役となります。「土はいのちの源」という原点に立つ農業を再生します。
国境を越えるマネーの膨脹と暴走を規制し、不安定さを増すグローバル経済によって暮らしが脅かされることを防ぎます。

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格差と貧困をなくし、分かち合いを実現する

誰もが不安と孤立と貧困から脱け出し、自分の「居場所」を見つけられることが重要です。若者や社会的弱者に「自己責任」を押しつけず、政府や地方自治体による公的支援を拡充すると同時に、市民やコミュニティによる助け合いを活発にします。
すべての人に人間らしい生活を営める生存権を保障するために、ベーシックインカムの導入をめざします。誰もがいつでもどこでも安心して医療・子育て支援を受けられるようにします。 子どもの教育や住まいなども公共サービスとして提供します。
公正な税制によって所得の再分配を行ない、格差をなくします。

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性による差別・抑圧のない平等な社会へ

女性への差別をなくし女性が生きやすくなることは、その社会が誰にとっても自由で生きやすい社会に変わるためになくてはならない重要な一歩です。私たちは、性別役割分業から解放され、個人を単位とする社会を実現します。すべての人が性別にとらわれず、「自分らしく」生きられることをめざします。

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子どもと未来を育む

未来の主人公である子どもたちは、どこで生まれて誰に育てられても、誕生・保育・教育・医療などの基本的な環境を保障されます。子どもは、血縁の家族だけではない「家庭」、保育所や学校、地域コミュニティのなかで育ちます。「子どもの権利条約」に謳われている「自分らしく生きる権利」「意見表明権」を実現します。

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多様で違ったあり方を認め合う

社会は、多様な人々から成り立っています。多様性を認め合う社会こそ、活気と豊かな文化を生み出します。女性・障がい者・性的マイノリティ・外国籍住民・先住民への差別や排除をなくし、すべての人が伸びやかに生きられる社会を創ります。
多民族・多文化共生の「そのまま違っていられる社会」を実現するために、当事者が自分たちに関わる事柄の決定に参加できる権利と仕組みの確立が重要です。

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熟議と当事者主権にもとづく参加民主主義を実現する

政治は代表を選ぶだけではありません。市民が自由に声を上げ、討議し、行動し、参加して決定する民主主義を実現します。
政治的決定は、できるかぎり人々の生活に近い場で行なわれます。分権を徹底し、住民自治と市民主権を実現します。
情報公開を徹底し、市民が行政を監視し、重要な事柄は住民投票や国民投票によって決定できるようにします。

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平和と非暴力の北東アジアを創り、戦争や暴力、差別のない国際社会をめざす

貧困と抑圧、暴力や差別、武力紛争や戦争のない社会をめざします。
憲法9条の堅持を国際社会に明言し、武力紛争や人権蹂躙、貧困や差別などを予防・解決するための外交や施策を積極的に展開し、その国際的な枠組み作りを進め、市民、コミュニティ、国家間の信頼や友好関係を発展させます。特に北東アジアでは、地域の非核化をめざすとともに、エネルギーや資源の共同管理と環境保全、歴史認識に関する議論を通して信頼関係と相互理解を深め、市民の交流と協力を基礎にした地域共同体をめざします。
沖縄と日本本土の米軍基地をなくし、徹底的な軍縮を進め、関係各国との友好関係を築き、軍事同盟としての日米安保のすみやかな解消を図ります。