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【特設ページ】市民にひらかれた自治体議会を目指す全国調査

調査概要と結果報告(速報版)

 総合的な分析結果の解説と、評価提言を行っています。

 

「市民に開かれた自治体議会をめざす調査」調査概要と結果報告(速報版)

*最終報告は1月31日発表


 

【1】調査の概要

    目的

東京都議会の「女性差別」ヤジ発言や兵庫県議会の政務活動費の不正使用など、自治体議会への市民の信頼を失わせる事態が続出しています。そのような現状を改革し、議会の信頼回復を図るためには、市民の議会への関心が高まり、開かれた議会をめざす世論が深まることが必要です。

 そのためには、何よりも市民が自ら住む自治体議会の現状を簡単に知ることができなければなりません。そして、その情報を基に、4月の統一自治体選挙において、議会と市民の結びつきを深めようとする議員に投票することで、議会の信頼を回復する一歩になればと期待して調査を行いました。

 

    対象、方法、期間

・対象  47都道府県議会、813市区議会、928町村議会、計1788自治体に調査を依頼

・基準日  2014年10月1日(もしくは2014年度予算)

・調査期間  2014年10月~12月

・調査方法  E-メールで依頼、必要に応じて電話で要請

*一部、党所属の議員による政務調査結果を受けたデータ提供も含む。

 

    調査分野と項目

3つの分野について、以下の調査を行いました。

1)女性に開かれた議会か  議会に占める女性議員の比率

2)議員とカネの関係が公平かつ公開か  政務活動費の公開度、議員報酬の適切さ

3)市民に開かれた議会か 議会のネット公開、休日・夜間議会、議会基本条例の制定、議会報告会の開催、市民の意見表明の機会の有無など

 

    回答率など

・回答率  1554議会 86.91% (2015年1月13日現在)

 

【2】調査結果の概要と評価 (数値は1月13日時点での回答修正過程の概数)

 

① 女性議員比率 ― 30%まで180年、50%まで360年!?

■調査結果

・女性議員比率は、全議会の平均で11.6%。でした。都道府県議会は8.8%、市区議会は13.5%、町村議会は8.8%です。

・女性議員がゼロの議会は、296議会で全体の19.0%を占めました。

■評価と提言

・国会議員比率の8.1%と比較すると、11.6%と高くなっています。

・しかし、11.6%は、4年前の2011年の統一自治体選挙の年の11.3%と比較して、ほとんど増えていません。統一選以外の選挙(全体の5割以上)が行われたにもかかわらず、3年間で約0.3%、年に0.1%の増加率です。

・この傾向が続くと仮定すると、政府の目標の女性議員比率が30%になるのに180年近くかかり、50%達成には380年もかかることになります。

・女性議員の比率を飛躍的に向上させるためには、クオータ制の導入が不可欠です。

・韓国では、市町村議員の比率は1998年に1.6%でしたが、2000年にクオータ制を導入したことで、2014年には25.2%と飛躍的に増加しました。約15年間で24%もの増加です。

フランスでは2000年、選挙の候補者を男女同数(50%クオータ制)とすることを定める法律(パリテ法)を制定しました。その結果、法の対象となった市町村で、女性議員は22%から47.5%、対象から外れた自治体を含めても33%と飛躍的に増加しました。海外の事例からも、女性議員を増やし議会の多様性を高めるという点において、クオータ制が劇的な効果をもたらすことは明らかである。

そのためには、自治体議会から「クオータ制の導入をめざす意見書」を可決し、国に働きかけることも必要です。

・クオータ制の導入を求める議員、および女性議員が、統一自治体選挙で数多く当選することを期待します。

 

② 政務活動費の使途の公開度 ―チェックに不可欠な会計帳簿の公開は14%

■調査結果

・政務活動費がある議会は全体の55.3%でした。都道府県議会は100%、市区議会は88.6%、町村議会は18.6%です。

・領収書の添付義務は全体で97.2%、都道府県議会は100%、市区議会は98.1%、町村議会は92%です。

・会計帳簿の添付義務は全体で36.4%、都道府県議会は19.1%、市区議会は40.1%、町村議会は25.6%です。

・政務活動費を用いた調査・研修に関する報告書は、全体で73.7%が義務化されていました。

・政務活動費の使途の公開度については、領収書の閲覧が可能なのは全自治体の35.3%、会計帳簿の閲覧は全自治体の14%と極めて低く、ネットで公開されている議会は2.3%にすぎませんでした。

■評価と提言

・政務活動費は、調査・研究・研修のための必要経費であり、公的に保障すべきです。政務活動費がない議会が45%もあることは憂慮すべきことです。

・しかし同時に、政務活動費はその使途が不正・不適切であってはなりません。市民が常時チェックできるようにして、議員の活動を「見える化」することが必要です。そのためには、収支報告書、領収書、会計帳簿の公開が不可欠です。しかし、チェックに不可欠な会計帳簿は、36.4%しか義務付けられておらず、14%しか公開されていませんでした。早急な義務付けと公開が求められます。

・また、市民が手軽にチェックできるためには、ネット公開が必要不可欠です。すでにネット公開している自治体は、世田谷区や函館市など約2.5%に達しています。兵庫県議会も来年度からは、会計帳簿をネット公開し、不信があれば領収書の閲覧を可能とする方針を確認しています。

・また、政務活動費を使用した調査・研修目的の視察については、その報告を義務化していない議会が4分の1もあることは問題です。視察の成果を報告することは、議員としての義務であり、市民が議員の政治活動を理解するうえでも貴重なものです。

 

費用弁償のない議会と

ある場合の実費、定額

③ 費用弁償制度 ― お手盛りの定額支給が24%

■調査結果

・費用弁償制度がある議会は、全自治体の47.1%でした。

・費用弁償がない議会は52.9%、「実費」も含めると76%、「定額」は24%でした。

■評価と提言

・費用弁償は、古い制度の名残りであり、現在では廃止か「交通費としての実費」が妥当です(都道府県は広域自治体なので、「実費」としての交通費支給は妥当です)。しかも基礎自治体の中でも、議会に1日出席すると5000円を支給す和歌山市市議会があることは驚きです。実費を超える費用弁償の定額支給は、市民の納得を得られないだけでなく、議会と議員への信頼の喪失につながりかねません。

・24%を占める定額支給の自治体は、早急な廃止および実費化が求められます。

 

④ 議員報酬の額 ― 民間平均年収の3倍の都道府県

■調査結果

議員報酬額の平均(年収)

・議員の報酬は、自治体規模が大きいほど高くなる傾向が明確です。

・議員の年収の平均は、都道府県議会で1305万円、市区議会で676万円、町村議会で331万円でした。

■評価と提言

・議員報酬は、その自治体の人口に比例する傾向があることが分かります。

・給与所得者の平均年収は413万円(非正規雇用は男性225万円、女性143万円)なので、町村議員は80万円ほど低く、約0.8倍です。兼業でなければやっていけない報酬額です。

・市区議会議員は260万円ほど高く、約1.6倍です。他方で、都市部の政令市や区議などは、年収が1000万円を超える議会がほとんどで、約2.5倍になります。

・都道府県議会は、890万円ほど高く、3.1倍です。

・ドイツ・フランスの国会議員の報酬は約1000万円であることを踏まえれば、日本の自治体議員の報酬は高すぎるといわざるをえません。

・議員の雇い主は市民であり、報酬は税金から支出されていますから、議員報酬の額には市民の意見が反映されるべきです。現在、制度的には特別職(議員)報酬審議会がありますが、何年も開催されていない自治体も多いようです。市民の意見が反映されるためには、報酬審議会への市民公募を促進すべきです。すでに市民公募を採用している自治体もあります。

*なお、2014年12月議会では、多くの自治体が人事院勧告にそって給与を引き上げました。格差の拡大を促進する議員の給与の増加は、市民感覚の欠如を反映しています。

⑤ 役職加算について ― 不透明な役職加算が95%も

■調査結果

・役職加算とはバブル全盛期に、「民間のボーナス」に見合うために引き上げられたものです。しかしその後、民間のボーナスが急減したにもかかわらず維持されています。

・役職加算については、議会事務局でも十分な理解が浸透していなかったため、調査結果は採用しませんでした。全国市区議会議長会と全国町村議会議長会では役職加算の調査を行っているので、それを反映しました。

・2013年の調査では、役職加算のある基礎自治体の議会は、市区で98.5%、町村で93.9%もありました。都道府県は100%です。

■評価と提言

・期末手当を月数だけでなく、月額報酬に加算して上乗せさせる方法は、民間では考えられず、不透明かつ不適切です。役職加算は、即刻廃止すべきです。

 

⑥ 議会の公開度 ― 議会報告会・ネット中継は4割程度にとどまる

■調査結果

・議会基本条例を制定している議会は、全体の37.8%でした。

・議会報告会を開催している議会は、全体の42.2%でした。

・議会のインターネット中継が行われている議会は、全体の44.8%でした。

・休日議会の開催は、全体の3.1%で、夜間議会の開催は、全体の1.9%でした。

・陳情・請願の提出者(市民)に議事録に残る意見表明の機会があったのは、全体の25.6%でした。

■評価と提言

・議会基本条例は議会の仕事と役割を明記しようとするものですが、策定中も含めても制定している議会はまだ4割に達していません。

・議会報告会を議会として開催し、市民との意見交換を図ることは、手ごたえある民主主義のためには必要不可欠です。議会報告会を開催する自治体は増えていますが、まだ4割強です。議会を市民に開くためにもすべての議会が議会報告会を開催すべきです。年1回だけではなく、定例議会ごとの年4回の開催が望まれます。

・市民が議会を傍聴しやすくすることは、議会としての義務です。最も効果的な方法は、多くの人によって使われているインターネットでの公開ですが、まだ44.8%と半数に達していません。町村のインターネット公開が19.9%と低いのは、財政的基盤が弱い側面もあると思われますので、政府の支援も必要です。

・休日・夜間議会の開催比率は極めて低いです。市民の傍聴を可能とするためには、もっと積極的に行うべきです。

・市民が意見表明できる機会を保証することは、手ごたえある民主主義を実現するためには、必要不可欠です。同時に、議員・議会と市民の間に信頼関係を築く前提条件です。25.6%という低さは残念です。まだ改善の余地があると考えられます。

⑦ 選挙公報 ― ない自治体が40%も!

 

■調査結果

・選挙公報がない自治体が、全体で40.3%、都道府県で25.5%、市区で20.4%、町村で61.3%もありました。

・全戸配布が全体の45%、新聞折込15.6%、ホームページ掲載10.4%でした。

■評価と提言

・選挙期間中に、ポスターだけで候補者を十分に知って選択することはできません。ポスターに記載された政党、性別、写真だけで投票を期待するのは、明らかに行政の不備です。市民が候補者を選択するうえで、候補者の政策やプロフィールなどが記載された選挙公報は必須です。

・選挙公報が作成されていない自治体が40.3%もあること、とりわけ都道府県でも25%になく、県庁所在地の自治体でない事例もあったことなどは驚くべきことです。

・次回選挙から作成するべきです。新聞購読者が減少していることを踏まえれば、全戸配布が望ましく、そのうえで、インターネットで公開すれば、ほぼすべての世代が選挙公報を見ることができるようになります。

 

⑧「回答なし」が13%、「議長判断で回答撤回!」も

残念な事例として、一度は議会事務局がアンケートに答えていただいたにもかかわらず、議長が回答拒否を指示し、集計に反映できない自治体もありました。また明確な理由もなく「回答をひかえさせていただく」という議会もありました。

 富山県の町村が、ひとつも回答がなかったことは残念です。

 

最後に、アンケートに答えていただき、また「訂正」などのチェックをしていただいた全国の議会事務局の方々に感謝します。

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<その他参考>

特設ページ 投票フォームや↓の資料をまとめています。 
都道府県別集計結果 日本地図のなかの各県をクリックすると県別集計表が見られます。
ネット投票の投票フォーム
ひらかれ度ベスト10議会、ワースト10議会の一覧
調査結果の概要と報告 分析結果の総合的な解説や、評価・提言がされています。
専門用語の説明 費用弁償、役職加算、夜間議会や議会基本条例といった、一般にはなじみの薄い用語を解説しています。
1/31(土)には、ベスト3、ワースト3議会の発表イベントを行います。  

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