【声明】止めよう老朽化原発、進めよう再生可能エネルギー

【声明】止めよう老朽化原発、進めよう再生可能エネルギー

 

2021年 5月 1日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

4月28日、杉本達治・福井県知事は運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機と高浜原発1・2号機の再稼働に同意しました。2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故を受けて新規制基準が作られて以降、運転40年超原発の再稼働に同意するのは全国で初めてです。

 「3.11」を受けて、不十分とはいえ原子炉等規制法が改正され、40年を超える原発は原則として運転できないことになりました。これには確かな根拠があります。

 原発の心臓部は、1500t/m2の高圧と320℃の高温、核分裂で発生する中性子などの放射線にさらされる原子炉内部をはじめ、激しい圧力や温度の変化と震動、蒸気による浸食・腐食など、厳しい環境にあります。美浜原発2号機(廃炉決定済み)では1991年、伝熱管細管が金属疲労を起こし破断する事故が起き、敦賀2号機では1999年に再生熱交換器がひび割れを起こし、冷却水50トンが漏れています。

運転を開始したばかりの圧力容器の鋼鉄は、脆化温度(もろくなる温度)は-16℃以下ですが、40年以上の運転で脆化温度は90℃度以下(つまり平常時の気温)となります。そのため、重大事故により冷却水を注入する事態になれば、圧力容器が脆化温度以下に冷やされて破損し、福島第一原発事故以上の事態が発生する可能性もあるのです。

 今回問題となっている3つの原発は「原子力規制委員会の認可を受ければ、運転期間を20年を超えない期間で1回に限り延長」できるという制度に基づき手続きが進められています。この制度自体も問題ですが、当時の細野大臣が「極めて限定的なケース」と答弁しているにもかかわらず、そのような「限定的」な例外にあたるか、十分審査せず合格させた規制委員会の責任も重大です。「40年」の原則を破って運転させるべき合理的理由は、どこにもありません。

 しかも杉本知事は、「使用済み核燃料の県外における保管場所が決まらない限り運転させない」という自らの公約を破り、保管場所の見通しが全く立たない中で、関電が「確約」したという不可解な理由で再稼働を認めました。

 東電福島原発事故から10年を迎える今、事故は収束せず、未だに多くの被災者が深刻な暮らしを余儀なくされています。原発は分散型エネルギー社会とは相容れず、持続可能性はありません。その推進は再生可能エネルギーの拡大を阻み、深刻化する気候危機に効果はありません。

 私たちはあらためて、老朽原発の再稼働に強く反対し、原発からただちに撤退するよう政府に求めます。福井県も原発以外の方法による地域再生を真剣に進めるべきです。そして、豊かな自然のリズムに沿った社会へ向けた持続可能なエネルギー政策への根本転換の重要性を強く訴えます。

 

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