【声明】民意とかけ離れた「日米共同声明」を強く非難します

   【声明】民意とかけ離れた「日米共同声明」を強く非難します
 
-軍事力行使とTPP、原発推進ではなく、平和と草の根民主主義、地域と環境を大切にする経済へ-

                              2014年4月29日
 緑の党グリーンズジャパン 運営委員会

 去る4月25日(金)午前、来日した米国オバマ大統領と安倍晋三首相は、日米首脳会談を経て共同声明を発表しました。

 この日米共同声明では、尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されることを明記するなど日米同盟の結束が強調されるとともに、集団的自衛権の行使容認に向けた検討ついての米国の「支持」も表明されました。また、沖縄の在日米軍基地について「長期的に継続可能な米軍のプレゼンス」を強調し、普天間基地の辺野古移設や米軍駐留の恒久化を図ろうとしています。安倍政権は、これに先立つ4月1日に「武器輸出三原則」を放棄し、武器や関連技術の海外移転を可能にする「防衛装備移転三原則」を閣議で決定しています。そして今回の共同声明で、米国からの「支持」を取り付ける形で、憲法9条の実質的な変容となる集団的自衛権の行使について、ますます前のめりになっています。同時に、その姿勢は、オバマ大統領の「(尖閣諸島問題について)事態をエスカレートさせるのは重大な誤り」とする発言(※1)にも見られるように、米国からも危惧されるような「暴走」ぶりとなっています。

 また、今回の協議で最大の焦点となっていたTPPに関しては、コメや牛・豚肉、乳製品などいわゆる「重要5項目」については合意には至りませんでしたが、「二国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」としています。「食の安全」だけでなく、医療や労働規制など、私たちの生活の重要な構成要素が脅かされようとしています。

 さらに、この共同声明では、「エネルギー安全保障が繁栄と安定にとって死活的に重要」であるとし、「新しいエネルギー基本計画を歓迎」と明記しました。原発をベースロード電源とする安倍政権のエネルギー基本計画は市民から大きな批判を浴びましたが、川内原発をはじめ原発の再稼働に突き進む安倍政権は、その方針についても「米国の支持」で国内の反対世論を抑え込もうとしています。

 安倍首相は、この声明を「日米両国にとって画期的な声明」と評価しています。しかし、共同声明を梃子にした安倍政権の暴走は、東アジアの対立と緊張をますます拡大します。そして、グローバル経済と多国籍企業の利益を優先するTPPの枠組みは、地域の暮らしを支える自治体や国の制度を破壊し、市民の「いのち」や「食」、社会やエネルギーのあり方の自己決定権を奪うものです。

 私たち緑の党は、「貧困と抑圧、暴力や差別、武力紛争や戦争のない社会」をめざす立場から、この日米共同声明を非難するとともに、国民的議論を無視し、米国の「支持」を利用して世論を抑え込もうとする安倍首相の姿勢に強く抗議するものです。

※注 1:4月27日付琉球新報記事によれば、オバマ大統領は尖閣問題に関して「私は安倍首相に直接言った。日中間で対話や信頼関係を築くような方法ではなく、事態がエスカレーションしていくのを看過し続けるのは重大な誤りだと」と会見で明らかにした。しかし、同時通訳が単に「正しくない」と翻訳し、国内のマスコミも問題意識なくそのまま「誤訳」を使っており、読者や視聴者を誤解させている可能性が指摘されている。

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