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インタビュー:緑の政治を生きる

【インタビュー】すぐろ奈緒&清野和彦 vol.3 「きちんと対話して、自分たちで合意を・・・ 

2014/09/26

 「シリーズ:自治体議員が語る」では、さまざまな自治体議員・元議員にご自身のことを語っていただきます。そのひとの人生の物語を通して、「市民派自治体議員という生き方」に触れることで、議員という仕事を少しでも多くのひとに身近に感じていただけたらと願っています。


 今年4月に故郷埼玉県秩父市議選に初挑戦、堂々の3位当選を果たした清野和彦さん、昨年まで杉並区議を二期務め、この夏、ドイツに移住したすぐろ奈緒さん。二人は学生時代、同じ団体で反戦・平和運動などに関わっていました。

 2001年9月11日の世界貿易センタービル破壊事件を経てアフガニスタン紛争、自衛隊のイラク派兵へと推移していった当時の状況を振り返りつつ、その後今にいたる10年の道のりと、これからの展望について語っていただきました。今回は第三弾。
 以前のインタビューはこちら→   第一話  第二話

聴き手:石崎大望 緑の党広報部

 

【インタビュー】すぐろ奈緒&清野和彦 vol.3 
「きちんと対話して、自分たちで合意をつくり出す力を」 

石崎 ・・・そんなこんなで31歳にして清野君は秩父市議選にたどり着いたと。

      ひるがえって、すぐろさんの場合は?まず、ワールドピースナウに関わってたのは25歳くらいのとき?

すぐろ 23、4くらいです。

石崎 で、その後市民活動などを経て、杉並区議に。杉並区議は何期やったんですか?

すぐろ 2期ですね。

石崎 2期8年。

すぐろ いえ、6年です。2期目の途中で参院選があったので。

石崎 ワールドピースナウ以降、区議になる前はどんな?

SUGURO2すぐろ 区議になる前は、ワールドピースナウの延長で、市民運動を続けてました。「次は有事法制だ」「横須賀に原子力空母配備だ」「教育基本法改定だ」と。その度に「今が大事だ」と思って活動するんだけど、次から次に出てきて終わらない。しかも、あっけなく法案は通ってしまう。そのうち、市民運動だけじゃダメなんだ。決定権を持つ政治自体をなんとかしないと、と思い始めた。そんなタイミングで、2004年に参院選があったんです。

石崎 中村敦夫さん率いる「みどりの会議」ね。そこで、初めて選挙に関わったんだ。

すぐろ そう。その頃一緒に活動していた仲間の小林一朗さんが立候補するということになって。その選挙に関わってみたら選挙が少し身近になったんです。で、選挙の後に「次の統一地方選にぜひ挑戦してみないか」っていうお誘いをいただいて。

石崎 すぐにやろうと思った?

すぐろ いえいえ。とんでもない!と思ってお断りしました。あんなにドロドロしてる世界・・・って勝手なイメージだけど(笑)入りたくないし、自分なんかがやれるわけないって思ってました。

それでも、周りから強いプッシュがあり、何ヶ月も悩んで・・・

だれかに政治を変えてほしい。でも、なかなか挑戦してくれる人が現れない。このままSUGURO何もしなければ、どんどん戦争できる国づくりが進んでしまう。他人に期待しながら、政治が変わらないと嘆き続ける・・・それでいいんだろうか。って繰り返し自問して、葛藤していました。

その頃から全国の地方議員の方とお話する機会も増えて、議会の生の声を聞くことができたので、国政を変えるにも地方の政治から変えていくことが大事なんだ、という思いも強くなっていったんですね。で、議会を傍聴したり、政策の勉強会に参加しているうちに、自治体の問題も色々見えてきて、とにかくやってみよう、一歩踏み出してみよう、と決意した感じです。自分が挑戦すれば、後に続いてくれる人たちが出てくるはず!と期待もしつつ。

 

石崎 区議時代はどうでした? やりがいはあった?

すぐろ やりがいはありましたね。やることがありすぎて、理想とするスローライフからは確実に遠ざかりました(笑)ただ、自分が提案した政策が実現したり、問題を解決できたときは達成感があるんですけど、議案に関していえば、区長提案はほぼ100%通ってしまう(可決される)ので、これで議会の存在する意味があるのかと疑問がいつもあって。大体のことは公開されていないところで決まってしまっているんですよ。それは私にも見えないところでしたけど。市民に見える議会の場では形式的な儀式になっている。

 それから、世間で非常識とされるようなことが議会では常識として多数派の力で通ってしまったり。憤りを超えて呆れるようなこともありました。

 そんな議員経験の中で感じたのは、やっぱり一人一人が政治を、というか自分の街の問題を、自分のこととして考えることが大事だってことですね。そうじゃないと政治は変わっていかない。

石崎 たとえばどういうこと?

すぐろ 当然のことだけど、行政は行政としての仕事をする、議員もそう。でも、議員や役所の職員に何でもお任せしてしまったらダメなんだということです。たとえば、区政に対して不満があるときに、批判をするだけの人って多いんですよ。簡単な例で言えば、区民から「公園の子どもの声がうるさい。どうにかして」っていう苦情が寄せられたりする。これは実際にあるんです。

石崎 うるさいって、遊んでる子どもの声が? 行政に「黙らせろ」と?

すぐろ この場合、「公園では大声を出してはいけない」って規制すれば解決っていう訳にはいかないですよね。それなら「この都会の限られた土地で、子どもが自由に遊べる環境はどう作ったらいいのか」っていう代替案まで考える必要がある。でもそれは区の仕事だと言って関わろうとしない。子どもに直接声をかければいいのに、それもしない。

石崎 何でも規制していったら住みにくい街になっていくよね。

すぐろ そうなんですよね。子どもの声が聞こえないような街になって、本当にそれでいいのか。

 そこまで想像してみてほしいなって。で、本当に困っているのであれば、どうすればいいか一緒に考えてほしいと思うんです。

石崎 一緒にって、役所と?議員と? どうやって関わればいいの?

すぐろ たしかにね、そのしくみは乏しいんですよね。対等に話し合うには、行政が必要な情報をちゃんと公開することが不可欠だし、対話の場づくりも必要なんですよね。

 情報もない、話し合う場もない、決定したことだけが知らされるというやり方をしてたら、市民も一方的に批判するしかなくなってしまいますよね。

 たとえばですけど、市民から「税金を安くして」という声が高まって、実現しようとします。でも、自治体の財政が厳しい状況だと、税収が減れば現状維持はできないので、従来の行政サービスの規模を縮小したり廃止することが出てきたりします。そうすると、「行政サービスを低下させるな」という声があがる。それなら借金して補おう、となると、今度は「借金を増やすな」という意見が出てくる。

 この場合、一気に全てを叶えることは困難なわけで、どこかで折り合いをつけて結論を出さないといけない。そんなときに、最終的には議会で決定するとしても、それまでの間に対話を重ねるプロセスが必要だと思うんです。首長と市民、市民と議員、市民同士も。

そういう経験を重ねることで、市民も自治体の状況が理解できるようになるし、お互いに他の立場SUGURO3の意見も理解しあえるようになるのかな、と思うんですよね。

というのは、ここは私にとって重要な気付きだったんですけど、私たち市民も議員も「対話」が苦手なんですよね。違う意見、違う利害を持つ市民同士が集ったときに、お互いに意見をぶつけるだけで歩み寄りができない。きちんと対話して、自分たちで合意をつくり出す力がない。そこを鍛えることが、自治とか民主主義を育むためのキーポイントなんじゃないかと思ったんです。

石崎 きちんと対話して、自分たちで合意をつくり出す力がない、か。ちなみに議員同士というのはどれくらいちゃんと議論できてるの?

すぐろ うーん、一概には言えないですけど、多分ほとんどの自治体で議員同士は議論できてないと思います。しくみとしてないんですよね。

石崎 しくみとしてない? 議会で議員同士が話し合う仕組みがないってこと?じゃあ議会って何やってるの?

すぐろ 首長に要望してるんですね。各議員が首長に対して言いたいことを言って、多数決をとって終わる。当然、意見はバラバラです。本当であれば議会全体で 首長に対峙しなければいけないんです。地方議会は二元代表制なので。

石崎 首長側の提案と、それに対する個別の議員のバラバラな質問や要望だけで議会は終始していて、議会の制度の中に議員同士の議論の機会が組み込まれてないと。議会でまとまって首長の提案に反対したりってことはしないの?

すぐろ そのためには議会で合意をつくる必要がありますよね。だけど、首長提案の議案に対しては賛成すると決めてる議員が多数だから、否決も修正もしない。そうすると、結論は決まってるから議会で合意をつくる必要がないってことになるわけです。その方が、首長にとっても議員にとっても楽なんですよね。 議会が機能していないって言われるのはそこです。

石崎 首長提案に対して賛成するって決めてる議員が多数だと、行政の提案はそのまま通っちゃうよね。それにしても議会で議論する仕組みがないとは。そういうこと、すぐろさんは、議員になる前に知ってた?

すぐろ 知らなかったです。議会に入ってみて初めて知りました。え?言いっぱなしなの?って。それでも、私の会派は修正案とか出したりしてましたけどね。なかなか議論にはならなかったですね。

石崎-なるほどね。そうすると、議会はそうとう改革が必要だし、市民もお任せにしないでそういう非常識なところをちゃんと見ていったり、一緒に考えていくことが必要なんだね。

すぐろ そうですね。投票したら終わりじゃなくて、そのあとも議会の動きを注視してほしいですね。そして、できれば色々な議員と話をしてみたり、自分の意見に近い人を応援するとか。支えてくれる市民がいることは、議員にとっても心強いですし、行政を動かすときにも大きな力になります。

 

 石崎 話は変わるけど、議会での活動がメディアに掲載されたこともあったよね。

 すぐろ ありましたね。選挙管理委員会の大量無効票問題とか、天下りと高額報酬の件ですね。

石崎 どんな問題だったっけ?

すぐろ ある選挙で、選挙管理委員会の不作為によって大量の無効票が出てしまったという事件があったんです。それで色々調べてみたら、委員4人のほとんどが議員の天下りで、働く時は少ないのに、高額な給料をもらっている。時給に換算したら、1時間4万円くらい。そういう問題が見えてきたんです。これを議会で追及して日額制にするよう求めたけど、区は改善しようとしない。そうしたらメディアが興味持ってくれて、報道してくれた上に、全国各地の自治体の調査をして一覧が新聞に掲載されて。さらに、同じ会派の奥山たえこさんが、病気で半年休んでいた選管委員に満額報酬140万円が支払われていたことを追及して、市民が住民訴訟も起こしたりしました。これはテレビのニュースでも報道されましたね。

石崎 住民訴訟。裁判もやったってこと?

すぐろ はい。あるジャーナリストの方が原告になってくれて。今のところ、地裁、高裁は勝っています。

石崎 最近話題になっているけど、政務活動費もひどい話だよね。

すぐろ そう。あれもね、全国各地の自治体が「議会改革」とかアピールしながら、思いっきり時代に逆行したことやってるんですよね。

  政務活動費は、昨年までは政務調査費と呼んでいて、本来は調査研究に使うことが目的なんです。たとえば、資料を購入する、専門家を呼んで勉強会をする、視察に行くとか。でも、それだけじゃ使いにくいってことで、自公民の地方議員が国会議員に要請して、地方自治法を変えさせたんです。

石崎 国会まで?!

すぐろ そう。それで、名称も変更して、使途基準を広げてしまった。

 議員て、地域の忘年会とか色んな団体の新年会に顔を出して挨拶したりしますよね。その参加費とか飲食代が、人によっては1シーズンで100万円くらいになったりするそうなんです。

石崎 えー!1シーズン3か月としたら、毎日1万円以上じゃん。

すぐろ 新年会は1日何件もハシゴしてるみたいですからね。そういう飲みの席にお金がかかりすぎるから、それを政務活動費でまかなえるようにしたいっていうことだったんです。

 まぁ、全国の自治体では、今までもこういうことに使っていたところが多かったと思うので、そこにお墨付きを与えただけかもしれないですけど、少なくとも杉並区は、私が議会に入ったくらいから、政務調査費の使い方をオンブズマンが厳しくチェックして、実際に改善されてきていたので、今回の条例改正で逆戻りしてしまったという感じです。

石崎 それ、区民にはどう説明したの?

すぐろ 直接聞いてみたんですけど、区民と交流する場というのは、区民の意見を聴いているのだから「調査活動」に含まれるんだと説明してました。

石崎 区民の意見ねえ。参加費は払っても飲み食いしないとかならまだ分かるけど。

 ところで、区民から意見を聴きたい場合は、区民が集まる場所に行く以外に、どんな方法があるの?

すぐろ 主に電話、メール、手紙で意見や相談が寄せられます。それから、議会の控え室に直接来られる方もいますし。私の方から特定のテーマでアンケート調査を郵送したりもしました。

石崎 どんな内容の相談がくるの?

すぐろ そうですねー、たとえば、失業して経済的に困窮している方とか一人親家庭の生活全般に関する相談とか、学校でのトラブル、近所のマンション建設をめぐっての相談などなど・・色々あります。

石崎 そういうことって、一期目からやってたの?

すぐろ はい、1期目から。みんなやってると思います。ほかの議員も。でも対応の仕方は人それぞれですね。「○○保育園に入りたい」とか「○丁目のミラーが壊れているから直してほしい」とか、そういう要望を担当課に伝えることをメインに活動している議員もいるし。でも本来それは区民が直接窓口に行って伝えれば話は動くんです。議員を通じると、口利きというか圧力になってしまう場合もあるんですね。それによって公平性が損なわれるという問題も出てくるので、私はそこは注意して対応していました。

 

第四話 挑戦のその先で、逢いましょう につづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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