【報道】 フランス ル・モンドに辛口ながらも取り上げられる

ル・モンド Le Monde:http://www.lemonde.fr/japon/article/2012/07/31/un-avenir-politique-incertain-pour-le-nouveau-parti-vert-japonais_1740523_1492975.html



日本の新しい緑の党の不確かな政治的未来

ウエブ掲載・ルモンド紙 2012年8月1日09時31分

ローラ・ボーリウ



(写真説明)2012年7月29日東京における反原発デモ参加者 APグレッグ・ベイカー

強引な二党派連立内閣の日本の政治風景に新風か。先週の土曜日、環境保護政党Greens Japan(日本緑の党)が結成された。この党は、「既成の政治運動からではなく、むしろ社会的な運動や地方政治の要望から出てきた若い世代を結集している」と、国立科学研究所のジャン-フランソワ・サブレ研究員は説明する。

「環境保護政党の政治進出の試みは日本でも過去にあったが、ことごとく失敗に終わった」と、同氏は振り返る。自らの重要性を増すために、Greens Japanはヨーロッパ各国の緑の党や、非政府団体グリーンピースとも連携しようとしている。しかし、この新しい党が長く存続できるためには、「反原発運動を強化させなければならないだろう。」

とはいえ、この日本における反原発運動はすでにかなりの規模に発展してきている。5月初めからすべて止められていた原子力発電所の政府による再稼動を阻止するために、数週間前から闘争が組織されている。緑の党結成の翌日日曜日には、1万人(警察発表)から20万人(主催者発表)の参加者が、国会議事堂の周りを取り囲み、ろうそくを灯し、人間の輪を作って抗議した。



(写真説明)東京での7月29日のデモに関する日本の英字新聞、ジャパン・タイムズのビデオより

2012年4月以来、毎週金曜日夕方、原発反対者はデモをするために首相官邸前に集まることを繰り返している。7月16日には、7万5千人(警察)から20万人(主催者)の人々がデモに参加するため東京に集ったが、このような大規模なデモは60年代以来実施されたことが無かった日本では、異例の出来事である。通りでの抗議行動にもかかわらず、50基のうち2基の原子力発電所が6月から再稼動されている。

(参考資料 「日本の反原発運動は原子力産業の城砦に打ち勝つことができるだろうか。」2012年7月30日)

ワシントンのピュー・リサーチセンターが行った調査結果によると、3分の2の日本人は脱原発に賛成である。ノーベル賞受賞者の大江健三郎、作家村上春樹、ジャーナリスト鎌田慧などの知識人たちはこの運動を支持している。大江健三郎は、去る6月15日、750万人の署名による請願書を野田佳彦首相に提出した。反原発の陣営に加わった何人かの政治家もいる。大阪市長だけでなく、2011年福島原発事故の際に職務にあった元首相の鳩山由紀夫(訳注:間違いと思われる)も名を連ねた。しかしながら、反原発の意思表明へのこのような熱狂も、新しい「緑」の党に輝かしい未来を約束するものではない。

選挙期日

Greens Japanにとって最初の正念場は、疑いなく2013年夏に予定されている参議院選挙だ。「緑の党は地方議会においては議席を得るだろうが、国政の場ではより難しいだろう」と、ジャン-フランソワ・サブレ氏は評価する。この選挙で議席を獲得するには、選挙運動を行う必要があるが、若い政党には資金が不足している。ところが、「日本の利権政治においては、金のあるものが選挙を制するのだ」と、同研究員は明言する。ジャン-フランソワ・サブレ氏によれば、Greens Japanにとっての解決策は、「与党であった1995年前後に多くを失望させたけれども、はっきりと反原発を表明している」社民党と連携することであろうと言う。

地方政治においても、議席を獲得するのは容易ではないだろう。7月29日日曜日の知事選の際の、環境保護派飯田哲也候補の敗北は事実上「緑」の党へ送られた否定的なサインだ。山口県(日本の西部)知事の職を、保守派の候補山本繁太郎と争って、この反原発の候補者は185,654 対 252,461 で敗れたのだ。 飯田哲也は、元原子力産業の社員で、90年代当初に自分の仕事を辞めることを決心し、再生可能なエネルギーのための財団設立に取り組んできた。飯田哲成の敗北の少し前鹿児島県では、もう一人の原発推進派の知事が再選されたばかりであった。

ローラ・ボーリウ