【用語の解説】

今回の調査では、費用弁償、役職加算、夜間議会や議会基本条例といった、一般にはなじみの薄い用語(制度)が登場します。このページでは、議会の透明性や公開度を見るうえで欠かせないこれらの制度の趣旨と、その問題点や有効性について解説しています。

 

用語の解説

1.政務活動費 議員の調査や研究などの活動のために必要な経費の一部として、議員報酬とは別に税金から議員に支出される経費のこと。研修への参加費・交通費、書籍・新聞などの購入費、議会活動の報告のためのニュース発行、事務所代の一部、電話・通信費の一部などに使うことができます。「何に使うことができるか」は議会ごとに決められています。 兵庫県議会の野々村元議員は、行ってもいないのに「調査のための交通費」と偽っていました。過去にはキャバレーなどで会議として使用していた事例もあります。新年会などへの参加にも使うことができる議会もあり、1日に3つの新年会への参加に政務活動費を使うような事例もあります。
2.収支報告書
  領収書
  会計帳簿
【収支報告書】
政務活動費の収支報告書とは、「交通費」「事務費」「広報費」などの項目ごとに、年間の支出額が記載されているもので、具体的な使途の記載はなく何に使っているかは分かりません。
【領収書】
領収書は、10年ぐらい前までは、提出義務がなかったり、あっても1万円以上など、使途が不明朗でした。キャバレーなどでの会議費としての支出が問題になり、その後は、ほとんどの議会で提出が義務付けられるようになりました。しかしまだ1万円以上の提出義務のままの議会もあります。ただし、公開されても、膨大な領収書だけでは、系統だってチェックすることはかなり困難です。
【会計帳簿】
会計帳簿とは、年間の具体的な支出を日付を追って記載したもので家計帳簿と同じです。この支出一覧を見ると不透明な支出や目的外の支出がチェックしやすく、領収書と照らし合わせることで、不正使用を見つけることが容易になります。
3.費用弁償 「費用弁償」とは、議員が議会に行くたびに支給されるお金のこと。議員が他に職を持ち議会への参加が名誉職的であった過去の制度が残ったものです。交通費・宿泊費などの弁償として支払われていました。裁判員になれば支給される費用弁償と同質のものです。議員報酬とは別に支給される事実上の交通費ですが、依然として費用弁償と呼ばれています。
しかも民間のような実費ではなく、たとえば東京都議会のように1日1万円か1.2万円が一律に支給されるような事例もあります。議会から歩いて5分でも1万円です。
4.議員報酬 議員は普通の公務員ではなく特別職なので、「給与」ではなく「報酬」となります。議員報酬は自治体ごとに決められますが、多くの場合、国の公務員給与に関する人事院勧告に沿っています。特別な事例として、福島県矢祭町の1日出席で3万円という議会もあります。人口規模や財政規模が大きいほど議員報酬が高額になる傾向がありますが、同時に都道府県内で横並びに決められている傾向もあります。
市長や町長が選ぶ10名程度の委員による特別職報酬審議会により方向性が出されますが、最終的に決めるのは議員自身です。審議会は何年も開かれない場合や、開催されても1~2時間程度で終わる場合が多く、審議会が値下げを答申しても、議会が否決した事例もあります。また、市民感覚の報酬にするために委員の市民公募を行うことができますが、まだ少数の自治体でしか実現されていません。
5.役職加算 バブルの時期の1990年に、公務員の部長などの役職者の期末手当(ボーナス)を民間並みに引き上げるという人事院勧告があり、その時に市長や議員の特別職も同時に引き上げられました。その際、「期末手当3か月を4か月にする」という形ではなく、月額報酬に30%をかけたうえで3か月分とする、という措置が採用されました。
自治体の議員報酬額は、月額と月数だけで報告される場合が多く、「月額報酬50万円、期末手当3か月」と公表されていれば、一般的には一年でもらえる期末手当の総額は150万円と理解されますが、実際は30%の加算があれば195万円となります。45万円は不透明な報酬といえます。
6.議長交際費 議長交際費または議会交際費などと呼ばれ、主に議長または副議長が使用します。議会として参加しなければならない会合や儀式に参加する時の経費です。
最も規模の大きい自治体議会である横浜市は120万円。大阪市は20万円です。130万円以上の議会もあり、使途のチェックが求められます。
7.議会基本条例と
  議会報告会
議会基本条例は、議会運営の基本原則を条例として定めたもので、2006年に北海道栗山町議会で制定されてから、全国の自治体で作成されるようになりました。この中で、市民に対して説明責任を果たすために議会自らが議会報告を行う規定が、多くの自治体で明記されるようになりました。議会報告会は、年に1回や4回、1回だが同時に4会場で行うなど、開催形式は多様です。議員間の討論がないなど課題も多く、今後の改善が望まれています。
8.本会議と委員会 本議会は条例や予算などを最終的に議決する場ですが、そこに至る過程で、予算委員会、厚生委員会、文教委員会、総務委員会、議会運営委員会などで審議して本会議に予算や条例が提出される仕組みが基本です。議員はどこかの委員会の委員となります。実質的な審議は委員会で行われます。本会議は傍聴できますが、委員会によっては傍聴ができない場合もります。
本会議は多くの自治体でインターネット公開が始まっていますが、町村は財政基盤が弱いために設備費や人件費をまかなえない側面もあり、遅れています。
9.日曜議会
  夜間議会
議会は基本的に平日の昼間に行われているため、多くの市民は、仕事を休まなければ傍聴することができません。休日議会や夜間議会を意識的に設定することで、市民と議会の垣根を取り払うことが望まれます。
10.市民の発言権 議会に市民の意見を表明し反映させようとする制度の1つとして、議員の紹介による議会への請願、市民1人でも可能な陳情があります。
しかし、その審議に際して市民が意見を述べることが保障され、議事録に掲載されて市民に公開される事例は少数です。多くの議会では、市民の意見表明の機会は参考人として議会が必要と認めた場合など許可制となっています。また、委員会の休憩時間に行うなど正式な委員会での発言と位置付けていないために、議事録に掲載されない場合が多数です。
11.選挙公報 選挙公報とは、選挙の際に候補者の写真・政策・プロフィールなどを掲載したもので、有権者にむけて、全戸配布や新聞折込などの方法で配布されます。新聞購読者が減少していることもあり、望ましいのは全戸配布です。
またホームページに掲載されれば、市民が手軽に見ることができるようになります。

 

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専門用語の説明 費用弁償、役職加算、夜間議会や議会基本条例といった、一般にはなじみの薄い用語を解説しています。
1/31(土)には、ベスト3、ワースト3議会の発表イベントを行います。